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「………………………………」
「………………………………」
帰りの車内。
空気は重苦しくて、さっさと豪邸を逃げ出すように、權さんは車を飛ばす。
なんか……怒ってる?
機嫌悪そう。
硬い表情のまま、前だけを見つめている。
ええと。
…………俺はどうすれば。
行きとは違う、少し乱暴な運転。だだっ広い国道だし、周りに人影も、他に走る車もないから、いいけど。いや厳密にはよくないけど。
来た道と違うな、と思ったら、目の前に海が広がった。
「ちょっと休憩」
まだぎこちない顔で、權さんは俺に微笑んだ。車を降りる。
風は冷たかった。
キラキラと光る水面。不思議と、潮の匂いはしなかった。
「あー………………………はあ、海なんて久しぶり」
大きく伸びをして、權さんは声を出す。俺も真似する。身体は緊張で強張っていた。砂浜を踏む、独特の感触。
「いつぶり?」
「えー、わかんない。遊ばないしなあ。海って疲れるよね。日差しとか。……宇多くんは?」
「普通に去年」
「リア充め」
「すいませんね」
「……………怒んないでね」
風に吹かれる髪を抑えて、權さんは笑った。
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