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はかり:おなかすいた
宇多島:何食べたい?
はかり:おこめ
「えー。だるいっす」
「そう言わずに。ね?」
ね? って、權さんが可愛くおねだりしてくるから、仕方ない。
夜の某駅。
イルミネーション。
「あんた、こんなん見たいんすか?」
予想通りごちゃついてる並木道を、うんざりしながら進む。カップルばっか。………ではないけど、なんとなく、そう見えてしまう。
「正確には僕じゃなくてね。弟に見せたいの」
「本人が来りゃいいじゃん」
「あいつ今出張」
ほーん。
何枚か写真を撮って、楽しそうにしてる權さんを見て和む。普段はクラゲより動かないくせに、弟のためなら生き生きしだすお兄ちゃん。可愛い。
「…………聰さんと仲いいですよね」
「うん」
「…………」
「? え、なに? 弟だもん、そりゃ」
「や、兄弟っていいなーって」
「いいよー? てか聰がいい。めちゃくちゃ可愛い」
「はあ」
「可愛くない? って、あんま会ったことないか」
「挨拶程度ですね」
「そっか。人生損してるね?」
「そんなに?」
「うちの会社に来れば毎日見放題だけどね?」
「むしろ聰さんがうちに来てほしいですけどね?」
「やらねーよお前が来いよ」
「行かねーよ」
満足したのか、權さんはスマホをしまって、普通に観賞する。淡い紫とオレンジのアーチ。むこうにはまばゆいハート。あちらには可愛い動物たち。
「宇多島くんて一人っ子だっけ」
「はい」
「……………親に結婚しろとか言われない?」
「全く」
「うっわ、いいなあ。うらやましい」
心底うらやましそうに、權さんは俺を見た。
「一人っ子なのに」
「權さんはあれからどうなんですか」
「……………」
うーん、聞かない方がよかったかな。営業スマイルで返された。
「お腹空いた」
「早く店行きましょうよ」
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