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考えるより先に言葉は出て、自分でも驚く。ああ、俺。ちゃんと答え持ってたんだ。
「……………………………………………………ああ、そう」
「なんでいきなり」
「………………だって。ねえ。…………」
「…………はっきり言ってくんないとわかんないです」
「…………………」
こんな状況で話を切り出した權さんを、恨めしく思う。
周りに聞かれないような小声とはいえ、知り合いがその辺にいるかもしれない、来るかもしれない可能性だってある。というか、知らない人にすら、聞かれたくはない。
あと数分で電車は来る。
じゃあさっきホテルで言ってくれればよかったのに。
それだと終わらなくなるって計算してたんだ。
「嫌です。俺は」
「………………なんで」
「なんで?………………いや、まず理由を教えてくださいよ」
「………………」
「……………そっちが言わないのずるいでしょ」
「………………そうだな。……………これ以上君を付き合わせるのは悪いと思って」
「…………なんすかそれ」
「そもそも発端は交換条件だったろ。…………それはもうクリアしたんだし。あとは僕のわがままに君を付き合わせてただけだから」
「俺は別に無理してやってたわけじゃないですけどね」
「……………………」
「…………むしろ望んで……っていうのは、もうご理解頂いてると思ってましたが」
「………………………………………………チャレンジ精神強いよね君」
「今そこ褒めます? てかこれ褒められてます?」
「褒めてる褒めてる。さすが」
「ウザい」
「君、僕のこと好きだろ」
あ、死にたい。
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