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「兄ちゃん、おかえりっ」
「……ただいま」
小学校から帰ってきた聰は、僕のことをずっと待っている。可愛くて仕方ない。両親は不在がちで、僕はひたすら聰を独り占めしていた。
聰が勉強していても、ゲームをしていても、ずーっと抱っこして、離さない。
「んん……兄ちゃんしつこい……」
「聰可愛いんだもん」
「………んー……」
「聰。ちゅーしよ? ちゅー」
「ん……」
いつからか。
唇を重ねるようになって。
「…………………兄ちゃん」
「なあに?」
「……好き」
「っ……可愛いなあ、聰は」
「兄ちゃんは?」
「僕も好きだよ」
「えへへー」
「んふふー」
子供の頃は、努めて大人しくしていようなんて考えなかった。家柄のこと、容姿も含め、僕は目立つようで、加えて勉強もスポーツも、やればだいたいのことは出来たから、中学でも高校でも僕は人気だった。
知らない人が僕のことを知っていて。
根拠のない噂は一人歩きして。
それでも周りに合わせて、笑って。
聰だけが僕の救いだった。
愛してた。
疑いようもなく。
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