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喫茶店は、混雑しておらず、今の時間ならまだゆったりとした雰囲気だ。
もう少し滞在して、頭を整理することとしよう。
(「あなたのお仲間です」という返答に対して「どこまで知ってるの?」……か)
彼女が尋ねたのは、「仲間のことを知っているかどうか」。
俺が、「彼女に仲間がいると勘付いた」と思っての発言だ。
仲間……盗聴器を仕掛けるような仲間がいる?
でも彼女はくまのぬいぐるみを知らなかった。
となれば、誰か盗聴器を仕込むのに協力した者がいる……ということか?
仮にサークル内の人間だとして、あの女性メンバー達は考えにくい……お互い牽制しあってるし、誰かと結託するくらいなら自分だけでやるだろう。
竹谷、梅津、寒川の三人は実行犯からは除外していたけど……共犯? だが組んでいたとしてわざわざ千明さんと関係の浅い女性にICレコーダーなんか持たせるか? やっぱりないな。松戸追っかけ組は、特別な気がする。
(とすると……)
夏休みがあけて、サークルに招待された時、俺のことをじっと見ていた男性の先輩が思い浮かんだ。
(あの人……? いや、全然情報がなくて分からない。あの人と組んでどうしようっていうんだ?)
文芸サークルの内情が分からない今、断定するのは危険な気がした。情報がないのが歯痒いが、自分が文芸サークルに入るというのもなんだか違う気がする。
彼との関係性も、高校の頃とは変わってしまっている。いつボロを出すかと思うと……千明さんに危ない橋を渡らせたくない。
『どうだった?』
千明さんからメッセージが届いた。
既読をつけたが、どう答えたものかしばらく悩む。
『ICレコーダーの件については解決しました』
とだけ返して、千明さんの待つキャンパスに戻った。
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