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心配そうにするマスターを横目に、席を立ち
奥の席を目指した。
ゆっくり男に近づく。
「俺、あんたに一目惚れしちゃった。一緒に飲んでもいい?」
今夜の俺は怖いもの知らずだ。空気を吐くみたいに薄っぺらい嘘をつく。
値踏みするような視線。頭から爪先までじっと見られる。
「俺、恋人はいらない」
あっさり断られてしまう。
「…………別に恋人になりたい訳じゃない」
男の襟首を掴んで耳にキスしてやった。
「今夜の相手は俺でどう?」
耳元で囁く。
「男をその気にさせたいなら、これ位しないと――」
お返しにと言わんばかりに、男は俺の後頭部を掴んで深いキスをしてきた。
甘い香水の匂いとタバコの香りが広がる。
人前で……!
僅かに抵抗を覚えたものの、計画の為には仕方ないと我慢を決める。
逃げられないように押さえつけてきた割に、濃密で甘いキス。
同時に足から際どいラインを撫でられる。
クソ……エロい触り方しやがって。
腰が砕けそうになる。
「子どもかとと思ったら……」
上から目線。癇(しゃく)に障る言い方。
子どもっぽくて悪かったな。どうせ俺は童顔だよ。
膝に乗り、そいつの唇を舐める。
今度は俺から仕掛けた。
「俺を選んで」
遊び人なら一晩位いいだろ。
断るなよ。俺、秋人を忘れたいんだ。
「…………いいよ」
聞こえてきた言葉に顔を上げる。
「俺の家でもいい?」
名前も知らない男を自宅に連れて行った。
ほんの数分で持ち帰りに成功。男はノコノコ付いてきた。
「シャワー貸して」
「……どうぞ」
脱いでキスをしても、そいつのは全く反応していない。
勃たなきゃ、できない。俺だとその気にならない……? ずっとレスだったから、俺自身、色気が足りないのかも……
あいつの顔を思い出し、首を振る。
今日、言われるかもしれない。『別れよう』って……
絶対に耐えられない。俺にはもう後がない。失敗は許されないんだ。
「口でしてもいい?」
意を決して男に近寄る。
「下手くそなら帰るからな」
こいつ、偉そうに……!
秋人を喜ばせたくて必死に磨いた腕前を披露してやる。
舌を這わせ裏筋をなぞり口に含む。弄ぶように鈴口を舐め、手でも扱(しご)く。
「真面目そうな顔して……意外と上手いな」
その減らず口、黙らしてやる。
あいつが好きだった場所。丁寧に丁寧に愛撫する。
『別れよう』俺から言わないと。秋人は優しいから悩んでるかも……
目に涙が溜まり、流れ落ちた。
どうして俺だけじゃ駄目だったんだよ。浮気相手のどこが好き……?
『好きだよ。司』
『可愛いね』
『ずっと一緒にいよう』
あいつの言葉を思い出す。
嘘つき。嘘つき……!
クソ。涙が止まらない。
「泣く位、嫌ならやめておけば?」
男が言ってきた。
「泣いてない」
「…………お前の事、覚えてるよ」
意外な言葉に驚く。
「一年前、彼氏と一緒に、よくあのバーに来てただろ」
「俺はあんたの事、覚えていない」
「だろうな。ウザい位、イチャついていて、お前は彼氏の顔しか見てなかった」
「俺の事、知っていたのか……」
それは意外だった。
「大方、喧嘩でもして相手を嫉妬させたいとか、くだらない理由だろ?」
男が俺のに触れてきた。
「…………っ」
分かっていて俺を抱こうとするなんて最低。
嫉妬……? してくれないよ。だって、あいつはもう俺の事――
「そう。彼氏が妬く位、激しくして……」
無意味だって分かっている。
好きなのに届かない。
好きだから、やめられない。
あいつに心を縛られたまま。
「人のもの、寝取るのは初めてかもな」
心なしか楽しそうに男が笑う。
「……」
「悪くないね。背徳感」
とんでもないクズで良かった。
俺も利用させてもらう。
「焦らしてないで、早く挿れて……」
秋人に何度も抱かれたベッドで、足を絡め男を煽る。
――俺はもっと最低。
「…………キツ」
スプリングがきしみ、ギシギシと音を鳴らす。
「ァ……」
久し振りすぎて痛い。
「お前の中、絡みついてくる」
「ぅう、ん……」
男がゆっくり腰を動かしてくる。
「あアァっ!」
でも、上手い……
中が馴染み、熱くなってくる。
「声、抑えろよ。ボロアパートだし、壁薄いんだろ」
「や! アァ!!」
失礼な事を言われているのに、何も言い返せない。
込み上げる快感に、ただ翻弄されるだけ。
そのまま激しく抱かれた。
獣みたいなセックス。
何もかも忘れさせてくれる行為に救いを求めていたのかもしれない。
朝になると、男はすでにいなかった。
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