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「奈美夜様、このケダモノをどうしてやりましょうか?」
「そこのベンチに寝かせなさい」
彼は言われるままに主君の命令に従うと、聖矢をベンチに寝かた。奈美夜は気絶している彼の側で涙を流して手を握った。
「聖様、ごめんなさい。貴方の気持ちは凄く嬉しいわ。でも、今はまだごめんなさい。貴方の気持ちに応えることは出来ないの。私は女の子ではないの。本当は聖様と同じ、男の子ですの。嘘をついて騙してごめんなさい。でも今はまだどうか気づかないで欲しい。わたくしが、男の子だと貴方の前で言える日まで――」
「奈美夜様、そろそろお帰りになる時間でございます。父上様も母上様も心配されております」
「ええ、わかったわ。今帰る。でも、彼は風邪をひかないかしら? こんな所で眠ってたらきっと風邪をひくわ」
「奈美夜様、それには心配ご無用です。この廿浦があとでこの獣の処理をしておきます。家の玄関の前に放り投げておくので勝手に目が覚めるでしょう」
「そう、では貴方に任せたわ」
奈美夜はそう言って話すと、眠っている彼のオデコにそっとキスをした。そして、後ろ髪を惹かれる思いで立ち去った。
――時は、1ヶ月前に遡る。
少年は裕福な家庭に生まれ、何不自由もなく、小さい頃からお嬢様のように両親に育てられた「橘 奈美夜」と言う名の見た目は少女のように可憐で可愛い少年がいた。正確には(男の娘)のような少年だった。彼は毎日が退屈だった。お嬢様のように育てられたせいか、とても窮屈な日々を送り正直飽きていた。その日、近所に新しい人が引っ越してきたと彼の耳にも話しが舞い込んだ。
奈美夜は興味本位で屋敷から抜け出し、忍びのボディガードの廿浦の目を掻い潜り、色々な障害物を何とか回避して抜け出し、引っ越してきた青年の家へと向かった。一言挨拶して顔を見てから冷やかしてやろうと思っていた。女の娘のように初め挨拶する時に装って、ジャジャーン! 本当は男の娘でした~! と、冷やかすつもりでいた。しかし、それが180度変わる出来事が起こった――。
家の前には引っ越してきたばかりのトラックが停まっていた。外から中へと家具を運ぶ姿が見えると、奈美夜は電信柱の裏へと回った。そして、遠目から様子を伺った。家具を運んでる人の中に青年の親子さんらしき姿を確認した。しかし、肝心の青年が見えないので、壁沿いを歩いて家の裏に回った。塀の外からジャンプして中を伺うと庭に誰かが佇んでいた。その姿はまさしく、若い青年の姿だった。キラキラと金色の髪が風に靡くと後ろ姿でも見とれてしまう程のオーラを放っていた。
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