アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第四章 入学と親友
-
入試が無事に終わり、僕は全教科満点で特待生入学が決まった。
桐楠大附始まって以来の快挙らしく、入学式に新入生代表の言葉を任された。
両親はもちろん、推薦してくれた京子さんも大喜びしてくれて、入学式には何故かうちの両親と京子さんまでやって来た。
章三とあおちゃんも来たがったが、学校があるので来られずに不貞腐れてたっけ…。
入学式当日。
桐楠大附は校門から校舎までの通路が桜並木になっている。
圧巻する程の桜並木に驚いていると、京子さんが
「裏校舎の白梅の林も綺麗よ。私と神崎君が出会った場所なの」
と、教えてくれたので、僕は入学式の前にこっそり梅林に足を運んでみた。
桜並木とは違う真っ白な梅林に声を失う。
白梅の白が眩しくて思わず目を細めると、ふわりと嗅いだ覚えのあるコロンの香りが鼻腔を掠める。
香りの方に視線を向けると、コロンの主が驚いた顔をして僕を見ていた。
しばらく見つめ合っていると、突風が吹いて白い花びらが宙を舞う。
するとその人は小さく微笑んで、ゆっくりと僕に近付いて来た。
そして僕の髪の毛に触れると
「髪の毛に着いていましたよ」
と、白い花びらを僕の手に乗せる。
その動きが、まるで映画のワンシーンのように綺麗だった。ぼ~っと見つめていると
「貴方も合格なさったんですね。おめでとうございます」
その人はそう言うと、腕時計を見て
「そろそろ、入学式のお時間ですよ」
って微笑んだ。
「ありがとうございます」
僕はそう言ってお辞儀をすると、体育館まで走って向かった。
心臓がドキドキと高鳴っているのは、新入生代表があるからだと自分に言い聞かせていた。
入学式が無事に終わり、クラスに戻って絶句した。
「よぉ、同じクラスだな」
そう、入試で出会ったアイツが僕の後ろの席に座っていた。
あの人が居るから、無事に受かって入学しているだろうとは思ってたけど…まさかの同じクラス。
しかも、僕の名前が『赤地蒼介』で、あいつの名前が『秋月 翔』なので、前後という並びになっているなんて…。
僕が唖然としていると
「入学式前に声を掛けたんだけど、お前、全然気付かないし」
屈託なく笑う笑顔に、悪いヤツでは無いんだろうと思う。…でも、結城の時のように裏切られるのは御免だと思った。
思わず警戒していると
「あ、警戒してる?安心して良いよ。
俺、お前みたいなタイプには免疫あるから」
って言って来た。
「僕みたいなタイプって、どういう意味だよ」
ムッとして答えると
「無駄にフェロモン撒き散らすタイプ」
と、失礼な言葉を吐いた。
「な!」
「大体、警戒してるつもりかもしれないけど、人の良さが滲み出てるんだよなぁ~。良く、それで今まで無事に来れたよな」
人の気も知らないで、こいつは言いたい放題言ってきた。
僕が頭に来て言い返そうとした時、背後からぬっと巨体が現われる。
振り向くと、身長190cmはありそうな大柄で、髪の毛が金髪。
目の色がグレー。
顔立ちはハーフらしく、綺麗な顔をしていた。
が、品行方正な学校に似つかわしく無い、制服のブレザーのボタンは全開。
シャツはズボンから全部出して、ネクタイもシャツが第二ボタンまで開けられているので、だらしなく結ばれている。
そいつは僕の顔をマジマジと見ると
「お前、赤地って…。赤地章三の親戚か何かか?」
って聞いて来た。
「章三?章三は僕の弟だけど…」
凄い迫力に押され気味になりながら答えると、僕の頭の先から爪先までジロジロ眺めてから
「弟?似てねぇな…。あいつ、あんたみたいな女顔してねぇかならな」
と呟いた。
すると、僕の席の後ろの奴が「ぷっ」っと吹き出す。
(なんて失礼な奴等なんだ!)
頭に来て2人を睨み付けると
「睨んでも怖くないよ、蒼ちゃん」
僕の後ろの席の奴が、にっこり微笑んで呟いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 42