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〜空夜side〜
「うわっ、びっくりした。」
朝、部活のために起きた空夜は、リビングのソファに春陽が寝ているのを見て驚いた。
泊まり込みではなく帰ってきたらしいが、ここで限界がきたようだ。
「あ、おはよう、空夜。」
「おはようお母さん。兄さんここで力尽きたんだね。」
「そうみたい。さすがにお母さん動かせないから、布団だけかけて寝かせたままにしようかなって。」
「そっか。っていうか起きなくてよかったのに。疲れてるでしょ?」
「いいのいいの。お弁当もあるし、朝ごはんも食べるでしょ?」
すでに朝ごはんは作られているようで、スープのいい香りがする。
「ありがとう。」
「いいえ。」
「んっ、ぅぅ……」
「あ、起きたかな?」
モゾモゾと動く春陽を見て、恋が近寄っていく。
空夜はテーブルにつき、用意されたパンに口をつけた。
「春陽、はーるーひ。寝るならベッド行きなさい。」
「ん、かあさん……」
「こら、もうお母さん運べないよ。」
「うーん……かあさん……母さん……?かえって、きてたの……」
「そうだよ。」
「おかえり……」
「ただいま。ってもう、それはいいから。書斎行って寝なさい。」
「10時には、行かないと……」
「あと2時間は寝られるでしょ。起こしてあげるから寝てなさい。」
「はぁい……」
大きなあくびをしながら、春陽は立ち上がってヨロヨロよ書斎にはいっていった。
「さて、陸玖は今日休みなの?」
「あ、多分。グランドとアリーナで点検みたいなのあるから、運動部みんな休み……」
「じゃあゆっくり寝かせといてあげようか。」
「そうだね。お母さん大丈夫?眠くない?」
「後でお昼寝するから大丈夫だよ。」
「無理しないでね。」
「うん、ありがとう。」
穏やかな朝食を終え、身支度を済ませた空夜はお弁当を恋からもらって家を出た。
*
〜圭吾side〜
「あぁぁ……やっと終わった。」
部活に行く長男に弁当を持たせ、次男と三男を起こして、課題をやらせるために、早めに朝食を済ませた。
次男と三男を机につかせたところで、圭吾はため息をついた。
傑が帰ってくるのはもう少し先だが、恋はもういない。
子育てというのはつくづく大変だと圭吾は思った。
傑のためにならなんだって頑張るが、大変なものは大変だ。
トントン、とノックの音がして扉を開ける。
「どうした?」
「執事長、あのー、使用人打ち合わせはどうしますか?」
「……すまない、忘れてた。今から行く。」
「はい、お願いします!」
時間がそんなに経っているとは思わなかった。
(やっぱり恋くんのすごさとありがたみが身に染みるな……)
圭吾はそんなことを思いながら打ち合せ場所に向かう。
正直なところ、傑に会いたくてたまらないというのもあった。
傑不足は圭吾にとって1番の不調の原因であり、死活問題である。
「あーあ……傑のこと抱きてえ……」
出産直後だから、これも当分無理な話であった。
「はぁ……」
思わずため息をつくものの、傑に尽くすことも、圭吾にとってはリフレッシュのひとつだ。
帰ってきたらご機嫌取りをして、子育ての手伝いをしつつ、少しだけ傑に甘えさせてもらおう。
圭吾はそう思い、今日も仕事へのやる気を見出していた。
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