アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
〜恋side〜
日曜の昼過ぎ、瑠梨と遊びながらのんびり過ごしていたとき、チャイムが鳴った。
「瑠梨、ここで大人しくしててね?」
「はーい!」
おもちゃに夢中の瑠梨をリビングにおいて、恋が玄関に向かう。
「はーい、あ!」
「れーーんーーさーーん!!」
扉を開けるなりぎゅむぎゅむ抱きつかれる。
「小雪さん、お久しぶりです!」
「久しぶりー!変わってないね!」
「小雪さんこそ!真司さんは?」
「雪愛に連れ回されてるよ。」
野中雪愛(のなかゆあ)は真司と小雪の娘だが、小雪にそっくりな子だ。
顔も性格も、恋に会うと抱きついてくるところなんかも。
「言ってくれればなにか用意したのに。」
「いやー、真司くんがこっちで演奏会に出ることになってね。急だったもんだから、驚かしてごめんね。」
「いえいえ。」
小雪は荷物も特に多くなく、1度ホテルかどこかに寄ったようだ。
雪愛は一人暮らし中で、その家は2人が滞在できるほどの広さはなかった。
「瑠梨ちゃーーん!小雪だよー覚えてるかな?」
「ゆきおにいさま!!」
「やだぁ覚えてるじゃん、可愛い!」
瑠梨は小雪のことを『ゆきおにいさま』と呼ぶ。
その綺麗な顔が最初は王子様に見えたらしく、目をキラキラさせていた。
今でこそこの呼び方に落ち着いたが、初めの頃は白馬の王子様だとか、運命の王子様だとか言っていた。
絵本に影響されてのことだったが、琉はものすごくショックを受けていた。
「お母さん、ちょっと……あ!小雪さんだー!」
「おっ、元気してたかー!」
「元気です!」
2階で編み物に勤しんでいた昂が降りてきた。
「で、昂どうしたの?」
「あ、うん!ここの編み方わかんなくて……」
「小雪さんが教えてやろうかぁ。」
「え?!小雪さん編み物できるの?!」
「ふふ、お母さんより上手いよ。」
「意外!」
「なんだとこら!」
「きゃははっ、くすぐったいってー!」
「るりも!るりもー!」
楽しそうにじゃれる3人を見て、恋はクスリと笑う。
「じゃあみんなで手芸しよっか。瑠梨も毛糸ぺたぺたしてお絵かきしてみる?」
「するー!」
ぴょんこぴょんこと跳ねる瑠梨。
小雪に抱きついて、きゃっきゃっと喜んでいる。
「昂も、そこ教えてあげるから座ってて。」
「うん!」
「小雪さんが使う用の編み棒も持ってきますね。」
「ありがとう!」
小雪が瑠梨の面倒を見てくれている間に、恋は必要な道具を用意した。
瑠梨にも毛糸と画用紙を渡して、好きなように貼り付けてみるように言う。
昂には詰まっていたところを教えれば、2人は集中して、黙って作業に没頭した。
恋たちは少し離れたところで、紅茶を飲みながらのんびり毛糸を編む。
「最近どう?」
「特に変わりないですよ。あ、嘘だ!傑が出産しました。」
「おーおー、4人目?元気だねぇ、圭吾さんは。」
「はい。」
「ま、うちも変わんないけど。」
避妊をしてくれているだけで、セックスがなくなったわけではない。
恋も同じなため、苦笑した。
「春陽くんは?大学?」
「いえ、大学には行かないで、高校3年生の冬から探偵事務所を立ち上げました。紘さんと仕事してますよ。」
「そうかそうかー。赤津家はさすがにもう順調?」
クスクス笑う小雪に、恋も笑う。
「おかげさまで。バタバタしてた時期もありましたね……もう10年くらい経ちますけど。」
「まったくね。春陽くんの反抗期は意外だったけど。」
中学1年生になった頃、春陽は恋と口をきかなくなった。
あとで聞けば、陸玖と空夜、昂にばかり構うのが寂しかったらしい。
「ふふ、今では頼もしいですよ。まあでも、いつも大変なことばかりさせちゃって、申し訳ないなぁとは思います。」
「そうかぁ……長男だし、弟たちからも頼られるもんね。」
「本人は嬉しいみたいですけど、無理してないか心配で。」
「まあ、困ったら恋さんに言ってくるよ。それより僕が心配なのは君たちの弟くんの方なんだけど?」
「あはは……奏くんは一時期荒れてましたね……」
「今はもう平気なわけ?」
「貴也くんがついてますから。」
「ほんと、あそこはより戻せてよかったよね。」
「はい。」
10年以上前の話だが、2人にもいろいろとゴタゴタした時期があったのを、恋は久しぶりに思い出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 189