アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
16
-
〜空夜side〜
「よーし座れー。」
2限目の数学Ⅱ、3限目の英語文法、4限目の体育を終えて、SHRの時間に緋村が再び教室にやってきた。
「連絡事項先に言うぞー。今週水曜日の5、6限のLHR(ロングホームルーム)で委員会と係を決める。来週の水曜日の昼休みから委員会始動だ。行事の委員会は金曜日の昼休みに顔合わせがあるから、水曜日に決めきるぞー。それから、木曜日と金曜日は午前授業だ。1年生向けの委員会と部活動紹介があるからな。木曜日は委員会と文化部、金曜日は運動部だ。関係ないものは13時完全下校!黒板にも書いておくし、また言うが、一応覚えといてくれ。」
部活動紹介で、空夜たち吹奏楽部は演奏する。
コンクールもあるため大した曲はやれないが、昨年のコンサートでやった短めの楽曲をやる予定だ。
「それから日直な。これは名前順で回していこうと思う。明日から、青原からスタートで、次の日は赤津、次の日は猪田って感じだ。大丈夫か?」
クラスのみんなが頷いているのを見て、緋村はよし、とプリントを配り出した。
「来週の月曜日は1日健康診断だ。今配ってるのはそのプリントだ。今年は2年生は1番早い時間の登校だからな、遅刻するなよー。」
えー、とか朝早いのかよー、とか声が上がるのを、緋村はうるさいぞ、と苦笑する。
「そーれーから、みんなももうわかってると思うが、6月に早速合唱コンクールがある。水曜日は委員会と係を決めるって言ったが、できればその時間に指揮者とピアノ伴奏者、曲決めまで入れたらいいなと思ってる。俺はせっかくやるなら行事は結果を残したいタイプでな!」
「出たよ熱血先生!」
前の席の優子が緋村をからかうとみんな笑う。
「青原だって去年盛り上がってただろう!」
「んなの当たり前じゃん!やっぱ金賞目指したいでしょ!」
「というか先生には敬語使いなさい!」
「今更?!」
わはは、とまたみんなが笑う。
緋村のこういうところが、生徒からの人望を集めるのかなぁ、と空夜は思った。
「えー、話を戻してだな。とにかく、合唱コンクールまで日がないからな、みんなで協力して進めていくぞー。もちろん、テストも忘れるなよ。」
この学校は、1学期に1回、2学期に2回、3学期に1回の定期テストがある。
1学期の範囲がかなり広いのがきついのだが、昨年は合唱コンクールの後で仲良くなったクラスの皆と協力して勉強を進めたいい思い出だ。
「さて、俺からは以上だが、みんなから何かあるか?質問とか。」
まだ初日。皆からの連絡事項などはない。
「よし、それじゃあ今日はこれで終わりだ。昼休みは13時20分まで、5、6限は選択授業の移動だからな!遅刻するなよ。」
ちょうどここでチャイムがなり、クラスがザワザワし始める。
空夜は昴流を昼食に誘うため、席を立った。
「すば……」
「昴流くぅーん!」
(あ、あれは……)
空夜が声をかけるのにかぶせて昴流に話しかけたのは、鳥谷亜美香(とやあみか)。
確か、昨年昴流と同じクラスだった女の子だ。
G組とは体育の授業が同じ日があったので、男女別でやっていたとはいえ、なんとなく覚えている。
特に亜美香は、露骨に昴流にアピールしていたのを見たことがあったから、空夜の記憶にも残っていた。
「げぇ、出たよ。」
後ろからそう聞こえて振り返ると、優子がしまった、という顔をした。
「ごめん、気になっちゃって。」
「あは、だよねー、私口悪いからさぁ……」
「去年もあんな感じだったの?」
「まあね……ずっとあれよ、木之本にべっべたべったべた……うげ。」
顔をしかめる優子の様子から言って、いつもあの距離感らしい。
昴流の表情が無になっている。
「くーちゃん!飯食おーぜ……?どしたん?」
「あ、いやっ、なんでも……」
「おーん?木之本呼びてえの?呼んでこよっか?」
弁当を持ってやってきた光樹が、空夜の視線の先を見て首を傾げる。
光樹は人懐こくて、元気で、ニコニコしていて、昴流からも嫌な顔はされなさそうであるが、あの状況に行かせるのは些か申し訳ない。
「木之本ー!」
「うっそここから呼ぶの?」
「こっ、光樹ぃー……」
「へ?だめだった?」
優子と空夜に対し、光樹は何がダメなのか、と言いたげな目を向けてくる。
(いや、いいんだけどなっ!)
「あ……?誰だっけ……セト、くん?」
「そうそう!瀬戸光樹!飯一緒に食わね?空夜と仲良いんだろ?こっち来て話そーぜ!」
「あー……いいけど。」
昴流ががたっ、と立ち上がって、弁当片手にやってきた。
(昴流も来るんかいっ!)
心の中で1人突っ込みつつ、残された亜美香の方に目をやると、それはそれは恐ろしい目をしていた。
(うっわ怖い……無理……陸玖……)
密かに、心の中で片割れの名を唱えつつ、空夜は空いた隣の席のイスを持ってきて座った光樹にのみ、視線を向けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 189