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〜空夜side〜
「みんな選択授業なんなん?」
空夜の隣席で昴流の前席の樫本兼(かしもとけん)も巻き込み、昴流、光樹、空夜の4人でお弁当を食べている。
光樹が言っている選択授業とは、今日の午後の授業のことだった。
「俺美術ー。」
兼が真っ先に答える。
彼は購買でパンを買ったらしい。
この学校の購買には、近所のパン屋さんのパンと、お弁当屋さんのお弁当とおにぎり、いくつかの飲み物とスイーツが売っている。
「俺も。」
「おーよろしくな会長!」
「会長はやめてほしい。」
「おーごめん。じゃあきのちゃん?」
「きのちゃん……?初めて呼ばれた。」
兼も光樹と似たタイプなのか、昴流にもグイグイ行く。
「嫌だったらやめっけど!」
「いや、別にいい。特にこだわりないし。」
「んじゃきのちゃんな。えーと、赤ちゃんはまずいよな。くうちゃんか?」
「みんなからはそう呼ばれてるよ。」
「じゃあくうちゃんでいくか。」
「樫本は2文字プラスちゃん付けのあだ名が好きなのか?」
昴流がそう聞くと、それが1番覚えやすいから、と兼は答えた。
「俺バカだからすーぐ忘れちゃうんだよ。だから人の名前はあだ名つけて覚えることにしてて、でもそのあだ名も、規則性がないと忘れちまうから、名字から2文字とって、ちゃん付けすることが多いんだよ。」
「へー!じゃあ俺はせとちゃん?!」
「2文字のやつは適当に変えるんだよなー。せとっち?」
「いい!!あだ名っぽい!!」
「じゃあそれでー。『けん』って名前が、1年生のときは2人いたから、前のクラスのみんなはかしけんって呼んでたけど、まあ適当に呼んでくれ。」
「同じ学年にいるなら呼び分けた方が楽そうだね。」
「だなー!じゃあかしけんで!」
「せとっち順応早いな。」
「さっきも普通に俺の事呼んだしな。つーか席まあまあ近いのに声でけえし。」
広めの教室では前後左右の距離は、他に比べれば割と取られているものの、それでも遠くはない。
(まあ、近いとはいえ、もっと近くによっていって呼ぶと思ってたんだけど……まさかあんな、クラスに聞こえるような声で、しかも動かずに呼ぶとは。)
「いやー、俺声でかいのはいつもでさー。なんかくーちゃんが呼んでほしそうな顔してたからぱぱっとやっちゃうかと思って。」
「まあ、正直助かったけど。」
「きのちゃんなんか絡まれてたん?」
購買に行っていた兼はその現場は目撃していなかったらしく、空夜が軽く説明した。
亜美香は隣のクラスの友人のところに行っていていない。
「あー、とやちゃんね。あの子ずっと彼氏いるんだってー。まあ俺はどうでもいいけど。」
「今はフリーってこと?だから木之本に絡むのか?」
「さぁ……去年からやたらと寄ってくる。正直うぜぇ。」
「木之本はっきり言うな!俺気に入ったぞー!」
「声がでけえ。」
クラスの視線が一瞬集まって、光樹はえへ、と笑った。
「で、なんの話してたっけ?選択授業の話じゃん?俺とくーちゃんは音楽だよな!」
「あ、うん。」
「へー、じゃあ途中まで移動一緒だな。」
「そうだね。かしけんと昴流は美術室、俺たちは音楽室だもんな。」
選択授業は、美術、音楽、書道の3つの中から1つを選んで履修する授業。
そして美術室と音楽室は隣だ。
書道室だけ別棟にある。
「あー、俺飯食ったら生徒会室行くから。かしけん先行ってろよ。教室で会お。」
「おー、まじか!生徒会長忙しい?」
「まーな。今週の1年生向けの部活動紹介の準備があるから。」
「なるほどそういうことか。じゃあせとっちとくうちゃんと一緒に行くわー。俺2人の後ついてく。」
「なんでだよ。」
空夜はほとんど3人の会話を聞くだけだったが、笑いすぎてお腹がよじれるかと思った。
昴流が生徒会室に行ったあとは、3人で昨年のクラスの話をしたり、どんな委員会をやりたいかなんて話もした。
教室移動して、音楽室前でちょうど昴流にも会い、兼は昴流にくっついて美術室に向かっていった。
音楽の先生は吹奏楽部の顧問であることもあって、空夜たちは楽しく授業を終えた。
戻る時は兼と昴流と遭遇し、他愛ない話をしながら教室に。
その後は帰りのHRがあり、各々部活もあるので解散になったが、LINEを交換することが出来た。
(1日で随分話せたな。)
これから楽しくなりそうだな、と空夜は心を躍らせた。
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