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〜空夜side〜
4月14日
「げっ!今日委員会決める日じゃね?!」
ふと思い出したように、兼が声を上げる。
すっかり昼食イツメンとなった、空夜、昴流、兼、光樹の4人。
まだ他のクラスメイトとの会話は少ない。
「そうだな。」
「ちぇー、きのちゃんはいいよなぁ……生徒会だから委員会関係なしだもんな。」
「まあな。でも係はやんなきゃいけねえしな。」
「せとっちとくうちゃんは何やるか決めた?この前話したときまだ迷ってたよな。」
「俺は去年もやった風紀委員かな。」
「せとっちが風紀委員?!」
「この学校校則ほとんどないから、楽ちんよ。」
「へぇー……くうちゃんは?」
「うーん……俺まだ迷ってる。合唱コンの係とか、文化祭の実行委員とかも好きなんだよねー。」
「空夜がやるなら俺もやりやすくて助かる。」
「あー、例年生徒会が仕切れみたいなムードあるよなぁ。きのちゃんも今年は大変だな。」
「あとは級長だな。俺も生徒会長として関わる、級長と委員長は変なやつがいないといいなって思ってる。」
級長はいわゆる学級委員のようなもので、クラスの代表者だ。生徒会や各種委員長も集まるような中央委員会にも出席する、それなりに重要なポジションだ。
「あーね。去年うちのクラスは級長がちょっとなぁ……色々揉めたんだよなぁ。」
「かしけんのクラスの級長誰だっけ?」
「えーと、ヒノサン……?」
「覚えてないんかーい。」
「じゃあせとっちはちゃんと覚えてんの?」
「うちのクラスは同じ吹奏楽部の小野(おの)くんだった。めっちゃよかったぜ。」
「へー。くうちゃんとこは?」
「ん?隣のクラスの笹倉新。」
「どんな子?」
「俺も知らんなぁ。」
兼と光樹は新との関わりはほとんどない。
「新はちょっと口悪いけど、仕事は真面目にやるいいやつだよ。サッカー部だよ。」
「へー!木之本も仲良いんだ。ふくかいちょーだっけ?」
「そーだけど、幼馴染だからな。」
「え!そうなんだ!くーちゃんとも?」
「そ。親が仲良いから。」
「へぇー、芸能人同士とかでやっぱ仲良いのか?」
話を聞いていた兼がパンを飲み込んで尋ねてくる。
「あー、うちは父親同士より、お母さんたちが仲良いんだ。」
正直琉と翔也が出かけるより、恋と明希の方が多く出かけている。
「そーなんか。」
兼も光樹もそれ以上は興味がなさそうに、頷くだけだった。
昼食を食べ終えたあとは4人でくだらない話をして、緋村が教室に入ってくると、席に戻った。
「さて、それじゃ予告通り委員と係決めるぞー。最初に級長から決めるぞ。で、級長になったやつはその後仕切ってくれ。よろしくな。」
緋村がまず黒板に級長と書く。
「悪い木之本、メモ取っといてくれるか。」
「はい。」
昴流に紙を渡し、書記をやらせている。
それを見た兼と空夜で、頑張れ、と口パクを投げかけた。
「よし!じゃあまず、級長は立候補募るぞ!誰かやりたいってやついるか?」
シーン、とした教室。
緋村が苦笑する。
「あー、このクラスは生徒会長の木之本もいるし、協力して進めていけることも多いと思うぞ!先生もフォローはたくさんするし、興味があるってやつがいたらぜひやってみてほしい。」
周りの席の子と話す皆。
緋村はしばらく様子を見ていたが、パンッ、と手を叩いた。
「じゃあ、推薦したいやつはいるか?推薦されたやつももちろん断っても構わないが、みんなから信頼のある生徒がいるかどうかも知りたい。もし推薦したいやつがいるやつがいたら、手を挙げてくれ。」
「はい。」
手を挙げたのは空夜からはかなり離れた、窓側の席の男子生徒。
(あの子は、えーっと……)
「おお、村田。誰を推薦する?」
「星谷くん。」
「うっそ俺?!とし、勘弁してくれよ!」
村田俊哉(むらたとしや)が推薦した星谷宏樹(ほしたにひろき)。2人は昨年も同じクラスだったはずだ。
「お前は人をまとめる能力があるし、俺はいいと思う。」
「星谷は去年は体育祭実行委員だったな!担当の先生から良かったって聞いてるぞ。」
「うっそぉ、先生まで?何この断りづらい雰囲気!」
「悪い悪い!嫌だったら構わないんだ!強制的にやってもよくないしな。」
緋村がそう言うと、宏樹はうんうん迷って、ひとつ息を吐く。
「やりますっ!」
「おお!ありがとな!じゃああとは任せていいか?」
「はい!」
宏樹が前に出てきて、緋村と少し話したあと、教壇に立つ。
「えーと、俺人前に出るのは好きだけど、こういうのやるのは初めてだから、よろしく。なんかダメなとこあったら遠慮なく言って欲しい!」
みんなから拍手がおきて、宏樹は安心したように笑った。
空夜は昴流をちらりと見たが、特に表情は変わっていない。
(嫌なタイプではなかったんだな。)
空夜はそんなことを思い、また黒板に視線を戻した。
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