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〜空夜side〜
誰も手が上がらないところでやろう、と考えていた空夜だが、委員会は思ったよりスムーズに決まっていった。
風紀委員は、宣言通り光樹と、光樹がやるならと手を挙げた理央に決まった。
環境美化委員は級長の宏樹を推薦した俊哉と昨年も環境委員だったという梢、保健委員は亜美香と、亜美香と仲の良さそうな鈴木浩一郎(すずきこういちろう)が手を挙げた。
図書委員には千景侑李(ちかげゆうり)と津野直哉(つのなおや)の野球部2人がなり、生徒会選挙を取仕切る選挙管理委員会には宮本(みやもと)もえかが立候補した。
残る委員会は行事にまつわる実行委員である。
「それじゃ、実行委員の方を決めたいと思います。実行委員は、合唱コン、文化祭、体育祭の委員があって、文化祭はクラス委員と、実行委員の2種類あります。文化祭と体育祭の実行委員は、男女1人ずつだしてほしいとのことです。文化祭クラス委員は最大3人まで、合唱コン実行委員は2人までで、男女は問いません。じゃあまず、立候補募ります!合唱コンの実行委員、やってくれる人いますか。」
すぐに迫った行事の実行委員ともなれば慌ただしく、忙しい。興味があっても、やりたいと思う人は少ないだろう。
「……じゃあ、俺やります。」
手を挙げたのは、昴流の後ろ席にいた男子生徒、霧谷京(きりたにきょう)だった。
京はダンス部に所属していて、社交ダンスの大会にも出ているため、空夜もよく知っている。
「おーっ!京は去年もやってくれてたもんな!じゃあ1人はそれで決定で……あともう1人いたら!」
京は宏樹と昨年も同じクラスだったようだ。
「……ほんじゃ俺やるわー。」
「えーっと、樫本くん?じゃあお願いします!」
(かしけんやりたくないって言ってたのに?!)
空夜は驚いて隣を見る。
兼もこちらを見てきて、沈黙に耐えられなかった、と口パクしてきた。
「じゃあ合唱コンはこれで決まりだね!次は、文化祭決めようかな!文化祭は、みんなも知ってると思うけど、実行委員は全体の運営、クラス委員はクラスの企画運営をします。それをふまえて、立候補募るね。とりあえず実行委員の方から!」
「俺やりたいー!」
空夜の後ろから大きな声が聞こえて、空夜はびっくりして振り返る。
理央のもうひとつ後ろに座っていた、植山裕貴(うえやまゆうき)が手を伸ばしてはいはい!と声を上げていた。
「植山くん、かな?男子他にいなければ決めちゃうけどいい?……大丈夫そうだね。じゃ女子でいる?」
「私去年もやったし、やろっか?」
「んー、と、室井さん、だよね!他にやりたい子いない、かな。お願いしていい?」
「はーい!」
手を挙げた室井月華(むろいつきか)は、学年の美人の中でもかなり上位で、昨年の美人コンテストにエントリーされていた子だった。
「そしたら、クラス委員の方!誰かいませんか。」
こちらは今までと違い、なかなか手が上がらない。
(元々気になってたし、これやろうかな。)
「はい、俺やるよ。」
「赤津くん!お願いします!じゃああと1人か2人!」
「空夜くんなら私やるー。」
「えっと、間宮さんだよね!お願いします!」
間宮琳(まみやりん)は昨年同じクラスだった女子生徒で、席が近くなったのをきっかけにかなり話した記憶がある。
仕事に対しては真面目で、しっかりしている印象だ。
(間宮さんなら安心だ……)
「2人でいい、かな?他にやりたい人はいない?……じゃあ最後!体育祭実行委員!」
「はい。」
「はいっ、篠田くん!」
手を挙げたのは篠田悠平(しのだゆうへい)。
悠平はキャッチャーをやっていて、ピッチャーの陸玖とかなり繋がりが深いため空夜もよく知っているが、面倒見のいい、良い奴である。
「あともう1人は女子で……誰かいない?」
「はーい!やります!」
空夜の斜め前、小野原深琴(おのはらみこと)が手を挙げてくれて、これで委員会は全て決定した。
「OK!ありがとう!!じゃあ次は係だね!んー、やりたい係のとこに名前書いてもらっていい?全員やらなきゃいけないから、めんどくさいなーって人もよろしくお願いします!」
宏樹の声掛けで、決まっていないみんなが席をたち、黒板に名前を記入していく。
被りが出たところと、人数が足りていないところの調整を宏樹が行い、こちらもすんなり終わった。
「先生、決まりましたけどどうしますか?」
「想像以上に早いな!」
確かに、まだ5限目は終わっていない。
あと15分程度とはいえ、かなりスムーズに決まった。
「それじゃあ……合唱コンの話にうつるか。文化祭や体育祭は、顔合わせあったあとに指示があると思う。合唱コンは、今日の話し合いで決まったところまでを顔合わせで報告するはずだから、やれるとこまでやろうな。」
「それって俺が仕切ります?実行委員?」
「あー、そうだな。急で悪いけど、2人に出てきてもらってやってもらうかな。星谷フォローは頼んだぞ。」
「はーい。じゃあ、霧谷くんと、樫本くん、お願いします。」
京は躊躇うことも無くすんなり立ち上がり、兼はこちらをちらっと見てきた。
「頑張れ。」
「くうちゃんの薄情っ!」
わざとらしくそんなことを言い残し、兼も教壇に向かった。
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