アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
43
-
〜空夜side〜
赤レンガ倉庫でなんとなく店を見回り、12時を過ぎた頃に横浜中華街に移動し始めた。
家族へのお土産を赤レンガ倉庫のショップで買った空夜は手荷物が少し増えていた。
「お腹空いたぁー、ねえ、どんな店回る?」
優子が振り返って聞いてきた。
「小籠包食べたいな。」
少し考えた後で京がそう言うと優子はうんうんと頷く。
「いいね小籠包!私肉まんも食べたいなぁ。」
「スイーツ系もよくない?あんまんとか、あと杏仁ソフトとかあるらしいよ。」
「えー!めっちゃ美味しそうじゃん!」
もえかがスマホの画面を操作して優子になにか見せている。
「芳子はどれがいい?」
「私はなんでも。」
「ふーん……?まあ見てたら何か食べたくなるかもしれないしね!」
「空夜はなんか食べたいもんあるの?」
「え?うーん……見ながら考えようかなと思ってた。俊哉くんは?」
「俺も見ながら決めるつもりだった。」
「ははっ、なんだぁ。」
食べたいものが決まっているのかと思えばそうではないらしい。
「宏樹くんは?食べたいものあるの?」
後ろを振り返ってそう聞くと、宏樹はうーんと考え込む。
「……宏樹悩みすぎ。」
「えっ、あっごめん!なんか考えてたらどれも美味しそうだなって、お腹空いてきちゃって。」
そんな話をしているうちに中華街が見えてくる。
既に何人か茅野学園の生徒がいるようだった。
「結構人多いねー。7人並んで歩くのめっちゃ邪魔じゃない?」
優子がそう言って振り返る。
確かに7人で一緒のお店で買ったり、一緒に行動するのはなかなか迷惑そうだ。
「半分にする?で、お昼食べたり、中華街見終わったあと、さっきあった公園で合流するとか。山下公園だっけ。」
「あー、それいいかも!」
宏樹の提案で、班を一時的に半分にして、後で合流することになった。
男女合わせて半分にすると、どうしても女子1人になってしまい決めにくいので、簡単に男女に分けることになった。
「じゃ、あとでねー!」
「うん、あとで!青原さん俺に連絡してね!」
「はーい!」
合流するときは優子と宏樹が連絡を取り合うことになり、既に目的地を決めたらしい女子3人は先に歩き始める。
「俺たちはどうする?」
「京、さっき小籠包食べたいって言ってたよな。」
「そうだったね。じゃあ小籠包のお店探すか!」
「えっ、いいの?」
「うんうん。俺たち全然決まってないし。まあ、途中で気になる店見つけたら寄ってもいいしね!」
「小籠包売ってるお店たくさんありそうだな。」
そう言った俊哉がスマホで小籠包の店を検索し始めた。
「これとか?」
みんなで俊哉のスマホの画面を覗き込んで、頷く。
「ここからだと、すぐそこだな。」
「え、あれ?めっちゃ美味そうじゃない?!」
俄然テンションが高くなった宏樹が、行こう行こうと空夜たちを促した。
少し並べば小籠包はすぐに買えて、1人1パック、4つ入りのものを購入した。
「なんかさぁ、みんなで並ぶと時間もかかるし邪魔だよね……みんなで同額のお金出してさ、誰かがまとめて会計しない?」
「それいいね。さっきから星谷くんに任せてばかりだし、お金は僕がやろうか?」
「でも京アレルギーあるし、万一ナッツも使ってるところあったら心配だからなぁ……」
「じゃあ俺がやろうか?」
空夜はアレルギーもないし、お金の計算も割と得意だ。
「お願いしよっかな!みんなで2000円ずつくらいでいっか?」
「そうだね。」
「ん、じゃあ空夜よろしく。」
「任せといて。」
みんなから2000円ずつ預かって、自分の2000円も入れて、他の自分のお金とは分けて財布に入れた。
「よし、じゃあちょっと端っこよって食べますか!」
道の端な方に寄って、小籠包を箸で掴む。
小籠包は中に汁が入っているから熱い。
(ゆっくり食べないと。)
「あっつ!!」
隣で声を上げた俊哉にびっくりしてそちらを見る。
「とし大丈夫?」
ケラケラ笑う宏樹が、一応心配の声をかけている。
京もくすくす笑っていて、俊哉本人も笑った。
「思ったより熱かったわ。」
「火傷してない?」
「ん、平気。空夜は食べ慣れてんな。」
「うん、よく出てるからね。」
「えっ?!家で小籠包出てくるの?冷凍とかってこと?」
「いや、空夜の家のお母さんが手作りしてるらしい。」
「まじで?!くーちゃん家のお母さんすごいな!」
「そういえば、泊まりに行った時もご飯すごく美味しかったなぁ。」
「「泊まりに行ったの?」」
宏樹と俊哉の声がハモって、視線が空夜と京の方に向く。
あまりに息がぴったりで、空夜は笑ってしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 189