アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
52
-
〜空夜side〜
メニューに書かれているのは、デスソースが入ったたこ焼き。
飲み会の余興に!などと書かれていて、4個のたこ焼きの中に1つのデスソース入りたこ焼きがあるようだ。
「てことはこれ2つ頼んでみんなで1つずつ食う感じ?」
そう言う光樹は割と乗り気のようだ。
「そうなるな!なんか楽しそうだしやろうぜー!」
「俺辛いもの好きだしいいよー。」
兼と宏樹も乗っかってきた。
京は友達とこういうことをするのは初めてだと言っていたし、やりたいことはできるだけ叶えてあげたい。
空夜も辛いものは苦手ではないし、こういうのはノリと勢いである。
「じゃあやってみようか。」
「ふふ、みんなありがと。」
嬉しそうに笑う京を見ては、誰も嫌だなんて言う気にはならなかった。
「8個あるから、デスソース入り3個にしといたよ。」
運んできた光樹の父親がサラッとそう言っていなくなる。
「え?!3人あたるじゃん!もー、父さんってば……」
「1個ずつ選ぼーぜ!」
なんだかんだと言いながら皆1つずつ、たこ焼きを皿にとる。
「よし、じゃあせーので行くぞ……せーの!」
光樹の掛け声で一斉に口に入れる。
空夜が食べたたこ焼きはとても美味しかった。
「ぐっふ、ぉ……ゲッホ、ゲホゲホ、ゴッホゴホ!」
「んぐっ、水、水!」
すぐにむせたのは昴流、ついで宏樹をばしばしと叩きながら水を要求する俊哉。
この2人が当たったようだ。
「んぁれ?あと1個は?」
そう言う兼は普通のものだったようだし、京や光樹も特にむせる様子もない。
「級長?」
「いや?普通のだったよ。」
「ってことは、これ……?」
残された1つのたこ焼きが最後のデスソース入りのようだ。
「えー!食べたくない!」
「さすがに分かってて食うの嫌だな。」
「村田くんも昴流くんもまだ撃沈してるしね。」
苦笑する京の言う通り、2人はまだ水のコップ片手に項垂れている。
「じゃー俺食おうか?そんなに辛いんかな。」
辛いものが好きだと言う宏樹がひょいっ、とたこ焼きをつまみ上げ、普通に口に運んでしまった。
空夜たちは少し心配になりながら宏樹の様子を見守る。
「んー、普通に美味しいけどな。ちょっと辛くて、美味しいよ。」
「「は?」」
声を揃えて上げたのはもちろん俊哉と昴流だ。
「お前の舌がバカなんだよ……」
「これが美味い……?どうかしてる。」
俊哉には睨まれ、昴流にはありえない、と言う顔をされ、空夜たちにも信じられないものを見るような目で見られた宏樹はあはは、と笑って誤魔化した。
「なんか2人ともごめんね、俺がやりたいって言ったせいで……」
「いや……別に平気……運が悪かっただけだ。」
「だな……京が謝ることではない。つーかそんなに辛いの平気なら、全部星谷が食えばよかったんだよ。」
「え?!なんかそれ八つ当たりじゃない?!」
「あぁん?」
「ちょっと昴流くん?!急に不良なんだが?!」
「自業自得。」
「とし?!」
3人のやり取りを見ながら、空夜たちは顔を見合わせて笑った。
*
昴流side
思いのほか遅くなってしまい、父親の翔也がみんなを送ると言うのでお願いした。
自分1人なら断っているが、皆もいるし空夜もいる。
光樹はすぐ近くだし、宏樹と俊哉はここから歩いて帰れるのでいいと言われたが、兼と京は一緒に帰ることになった。
「……あ、着いたって。」
「きのちゃん本当にありがとな!母ちゃんも安心だって言ってて、お礼言っとけって。」
「別にいいよ。父さんから言い出したし。」
「じゃあ俺達も帰るか。」
「だね。光樹くんまたね。」
「おー!また月曜な!」
店の前で解散し、近くにいるという翔也の車のところまで歩く。
「あれ。」
「おー!でかくね!」
「なんか若い頃、みんなで出かける時とかも使ってたんだってさ。」
「へぇー!くうちゃんのお母さんとかも乗せてたってことか!」
「そうだな。」
コンコンと窓のところを叩くと、翔也はすぐに気がついて扉を開けてくれた。
「乗って。」
兼と京を先に乗せて、空夜と昴流はあとから乗り込む。
「みんな楽しかった?」
「はい!わざわざ来てくださってありがとうございます!」
「いえいえ。」
まだまだ元気な兼に翔也はくすくす笑いながら扉を閉める。
空夜と兼が前に並んで座り、昴流は京と隣になった。
「2人はお家どの辺?」
「ここからだと家より先。」
昴流がそう言って、兼と京がそれぞれ最寄り駅を伝える。
「じゃあ、ちょっと大回りだけどそっち側から回ろうかな。お家近いところあったらそこでとめるから、途中でも遠慮なく言ってね。」
翔也はそう言うと車を出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
58 / 189