アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
59
-
〜空夜side〜
「楽しかったー。」
「ほんと?くーちゃんに楽しんでもらえてよかった。また2人で遊びに行こ。」
「うん。」
パフェを堪能して、ショッピングモールを見てまわった。
明日も学校があるので、あまり遅くならない時間で解散にすることにした。
「家まで送るよ。」
「えっ!いいよいいよ!ここからそんなに遠くないし。」
「……お前らまだいたのか。」
声をかけられて振り返ると昴流がいた。
バイトが終わったところなのか、他の人たちもいる。
「木之本くんはバイト終わったところ?お疲れ様。」
「……どーも。空夜帰んの?」
「うん、今帰ろうと思ってたとこ。」
「じゃあ車乗ってく?アイツが迎えにくるんだって。」
アイツとは翔也のことだろうが、珍しい。
昴流は迎えを断ることが多い。
「店長と恋さんたちが飲むらしいから。」
「えっ、お母さんたちと?」
「そ。なんも聞いてないの?どうせお前ん家だと思うけど。」
「……聞いたかも。」
そういえば昨日、明日の夜は人が来るが大丈夫か、と聞かれた気がする。
「じゃあ、くーちゃん車で帰るんだね。そしたら俺も安心。」
「いや、俺男なんだけどな……まあいいや。昴流も乗って帰るならお言葉に甘えようかな。」
「ん。ま、アイツには来たときでいっか。」
(いいのか……?)
「じゃ俺はお先に。くーちゃん後で連絡するね。」
スマホを振って、航が先にいなくなる。
「……付き合ってんの。」
「えっ?!いや、まだ……」
「へぇ、まだ?」
ニマニマする昴流に空夜は軽く小突いた。
「内田さんは旦那さんの車で行くんすか?」
「ううん、なんか一緒に来るみたい。お酒飲む気満々だから……」
内田と呼ばれた男が、昴流の働く店の店長のようだ。
恋より男らしいが、美人系で儚い雰囲気がある。色素の薄い髪と瞳のせいかもしれない。
「木之本くんのお友達?」
「まあ、そうっすけど、こいつは恋さんの息子です。」
「初めまして、赤津空夜です。」
「わぁ、そうだったんだ!初めまして。傑さんの子どもには何度か会ってるんだけど、恋さんとは本人も数回会っただけだから……」
「じゃあ子どもがいるのは知ってるけど、顔まではって感じだったんですね。」
「そうそう。あ、そろそろ着くみたいだけど……お父さんの車ある?」
「んー……あ、あれかな。」
ショッピングモールの前の道に止まった見慣れた車。
木之本家の大きめのワゴン車はお出かけする時には大変お世話になっている。
昴流がコンコン、と車窓をノックすると扉が開く。
「あれ?空夜くんも一緒だったんだ。」
「さっきそこで会った。」
「なんだ、それなら新くんも拾ってきてあげればよかった。」
「……新も来んの?」
昴流たちが普通に会話を進める横で、内田は男とキスしている。
(……これが普通?)
別にいやらしいものではなかったけれど、空夜はそれが気になって、翔也と昴流の会話の中身が頭に入ってこなかった。
「空夜?早く乗れよ。」
「あっ、うん。」
(やっぱツッコミなし……)
「……あれ、あの人たちの通常運転だから。慣れろよ。ことある事にキスすっから。」
こっそりと昴流が耳打ちしてきて、内田たちを目で示す。
「旦那さんの方が店長のこと溺愛だから。琉さんと圭吾さん足して2で割った感じ。」
「なにそれ最悪じゃん。」
「どんな想像してんだよ……」
「ヘタレドS?」
「なんでそうなる……溺愛独占欲強めのスパダリだよ。」
「あ、そっち。」
「……とにかく、キス、ハグは普通。気にしたり突っ込んだりする方が疲れるから考えんな。」
「わかった。」
周りにもパートナー溺愛の人が多いせいか、順応は早い。
新から聞かされる笹倉夫婦の様子に比べれば、この程度は可愛いものだ。
「賢吾も来ればよかったのになぁ。」
「え、賢吾さん誘ってたんですか?」
「そーそー。でもレコーディングあるから来られないんだって。奏多くんに久しぶりに会いたがってたよ。」
「俺も会いたかったなぁ。」
(けんごって、KENGOのことかな?)
KENGOは翔也と仲のいいシンガーソングライターだが、内田とも知り合いらしい。
「傑くんは仕事無理やり片付けたらしいよ。」
「えぇ?!傑さん出産したばっかりでしょう?」
「まあね、まだ2ヶ月かな。」
「来てくれるんですか?」
「うん、奏多くんとお話したいんだって。」
「嬉しいなぁ。」
ぽわぽわしているように見えるが、この男は一体何歳なのだろうと空夜は思う。
「……内田店長は母さんたちと同い年だからな。」
「え。」
思考が読まれたのか、昴流がそっと教えてくれたが、空夜は固まってしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 189