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〜空夜side〜
「母さん、花穂迎えに行く時間。」
「ほんとだ。新サンキュ。」
「ん、車出すよー。」
2時間ほどして、皆の酒も進んできた頃、新が母の傑に声をかけにいった。
新の祖父たちといるらしい花穂だが、迎えに行く予定だったようだ。
翔也はそれを聞いていたのかまだ酒には手をつけておらず、傑と新を連れて1度家を出ていった。
「翔也さんってほんとすげぇよなぁ。」
「……アイツのどこらへんが?」
「今のとか?迎えに行くの知ってたからお酒飲まないでいたわけじゃん?圭吾さんはガッツリ飲んでるのに。」
「圭吾さんが飲んでるのは、連れてくと面倒だから、傑さんが飲ませてるような気もするけど……」
空夜がそう言うと陸玖は苦笑した。
「とにかく翔也さんって周り見えてて、デキる男って感じなんだよなぁ。」
そう言いつつ、陸玖は2枚目のステーキに手を伸ばしている。
(よく食べるな……)
空夜はそう思いながら、自分はサラダに手をつける。
「デキる男ねぇ……母さんいなきゃ闇堕ちしそうだけどな。」
「なにそれ怖っ。奏叔父さんとタイプ一緒?」
「奏叔父さんなんかあったっけ?」
「昴流は聞いたことないんだっけ?俺と陸玖は酔った奏叔父さんから散々聞かされてるんだけど。」
「聞いたことねぇかも。奏叔父さんって、貴也叔父さんの前だとかっこつけるし。」
「ふはっ、それは間違いない。あと義兄の翔也さんに頭上がんないみたいだからな。」
「んで、奏叔父さんがなんなの?闇堕ちしたの?」
「貴也叔父さんと別れたとき、めっちゃくちゃ荒れたらしいよ。夜遊び歩いて、タバコ始めて、お父さんがすごく怒ってた。翔也さんは何も言わなかったみたいだけど……」
「ほんっとにやばかったんだって。俺らまだ小さかったから覚えてないし、春兄も全然覚えてないらしいんだけど。」
「へー、意外。奏叔父さんって、貴也叔父さんのこと大好きだけど冷静だし。」
「でもそれは翔也さんも一緒じゃね?」
「確かにね。奏叔父さんと翔也さんって似てるところあるよね。」
「あー、まあな……アイツ、奏叔父さんは信用してるみたいだし。」
「そうなんだ。」
「お母さんも奏叔父さんのこと信用してるよね。」
「あー、確かに。」
奏は陸玖と空夜も幼い頃によく遊んでもらっていて、思い出もある親戚だ。頼りになる部分も多い。
「……なぁ、あれ平気?」
昴流の声に顔を上げると、瑠梨と瑛斗がデーブルの近くで遊んでいる。
2人を見ていた春陽は先程トイレに立っており、恋と千秋は気がついていないようだ。
「鉄板あるし危ないかも。俺行ってくるよ。」
そう言って空夜が立ち上がろうとした時、1番隅に座っていた内田が瑠梨と瑛斗になにか声をかけた。
2人はコクコクと頷いて、少し離れたところに行ってまた遊び始めた。
「面倒見いい人なんだね。」
「んぁ?店長?子ども好きらしいんだよな。」
「えー、すごいな。瑛斗が怖がんなかったじゃん。」
瑛斗は千秋と春陽以外の大人には怯えてしまう。
その場にいる分には慣れてきたようだが、話しかけられると千秋の方に逃げてしまうことが多かった。
しかし陸玖の言う通り、内田に対しては怯える様子はなく、話を聞いていた。
「まあ柔らかい雰囲気だしな。千秋さんに似た感じするんじゃん?」
「そうかもね。旦那さんの方はちょっと怖いけど……」
今は圭吾と何か話している様子の内田のパートナー。
なぜかふたりともドヤ顔である。
「賢杜さんっていうんだけど、あの人KUAの社長だよ。」
「え?!そうなの?!俺アプリ使ってる!」
陸玖がスマホを操作してそのアプリを見せてくれた。
「それうちの店の靴も出てくるよ。」
「まじ?!」
その日の気候やTPOを入力すると、コーディネート提案をしてくれるアプリは、バージョン1はかなり昔のものらしいが、今でもアップデートを重ねていて人気のアプリだ。
自分の服だけでなく、お店のオススメも表示され、それで新作や流行を掴む人もいる。
「それ見て買いに来ましたっていう人多いし。」
「へー!」
「あの人は仕事できてキビキビしてるから怖く見えるかもしんないけど、普通にいい人だよ。まあ、店長のこと溺愛してるから、店長に好意向けるとやばいけど。」
「なるほど、紘さんとかに近いのかな。」
「あーまあそうかも。」
「みんなご飯足りてる?」
話しているところに恋がやってきた。
「うん、足りてるよ。」
「昴流くんも平気?」
「はい。」
「お腹すいたら遠慮なく言ってね。」
「ありがとうございます。」
「あ、お母さん、さっきなんだけど……」
念の為、先程瑠梨たちが危なかったことを恋に伝える。
「ほんと?教えてくれてありがとう。奏多さんにもお礼言わないと。」
今は春陽も戻ってきているし、大丈夫そうだった。
「あ、そうだ。新くん帰ってきたら、好きなタイミングで家出なね?アイス買ってあるから、それ持っていって、みんなで食べて。」
「やった!」
「ふふ、陸玖はあんまり食べ好きないように。」
「はぁい。」
恋は空いたお皿を下げると、内田の方に行って話をしている。
それが終わると新しいお酒を補充したり、ツマミを足したりとテキパキ動いていた。
(お母さん、すごいなぁ。)
いつものことながら、空夜は感心してそんなことを思った。
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