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〜昴流side〜
「……すっかりイツメンだね。」
いろいろ話し合いながらグループ分けをして、昴流は空夜、京、兼、光樹、宏樹、俊哉と同じグループになった。
合唱コンでも打ち上げに行っていて既視感のあるメンバーなだけに、宏樹はそう言ってくすくす笑う。
家の場所やダンスの出来、仲の良さなども考慮してわけたのだが家の場所で言えば若干集まりにくい。
「でも家遠くない?俺らとくーちゃんたちで家真逆よ?」
まさに光樹の言う通りだ。
「うーん確かにね。でもさ俺たち結局みんな部活で学校くるじゃん?それ考えたら、他の人と組むより予定合わせやすくない?昴流くんと京とかの練習が学校の日とかに狙ってグループ練習したらやりやすいと思うんだけど!」
「それは確かに、級長の言う通りかもなぁ。でも俺ら夏が本番だからさ、それまではやっぱ集まりにくいと思う。」
「そうだね……8月中旬にコンクールあるからね。」
この学校の吹奏楽部は銀賞までが精一杯の実力だが、それでもコンクールには毎回全力を注ぐし、野球部応援もあるためそちらも手を抜かない。
と、空夜が前に言っていた。
「とりあえず曲を決めて振り付けを考えて、でもそれがテスト明けからスタートすると思うから……そもそも振り付けの完成が夏休み直前だと思う。それから個人練してもらって合わせるから、早くてもお盆はすぎるね。」
「そっかぁ、そうだよね。京くんと司くんには裕貴くんのフォローもお願いしたし。」
「それは全然問題ないよ!」
申し訳なさそうにする空夜に、京は気にしないでと微笑んだ。
「各自練習してもらって、わからないところあれば俺に聞いてもらう感じで8月半ばくらいまでやって、みんなの状況見ながら合わせる日は決めようかな。」
「あとはどの女子グループと組むかも重要だよな。」
光樹がそう言うまで、昴流はすっかり忘れていたが形式がダンスバトルなのだった。
使う曲も雰囲気も女子グループと合わせる必要がある。
(……ちゃんと話が通じるやつだといいけど。)
「空夜くん、そっち決まった?」
「うん!決まったよ!」
琳に声をかけられ、空夜と琳が話を少しして、そのまま前に立った。
「みんなそのままでいいから聞いてー!女子も男子もパート分け済んだので、次は組み合わせ決めていきます!練習日程のこととかも考えて、同じ部活とか、予定が合いやすいグループにしたいと思います!各グループリーダー決めて、1人ずつこっち来てください。」
琳の指示に従って京が1人で前に行く。
司と裕貴も出てきて、女子グループからは優子と亜美香、月華が出てきた。
(青原か鳥谷がいい……)
昨年も同じクラスだったという理由だけで、昴流はそう考えた。
女子からキャーキャー言われるのはかなり苦手だ。
亜美香のあの絡み方はうざったいと思うことはあるが、変にキャーキャー騒がれるよりいっそ清々しい。
それに京との一件であまり悪い子ではないのもわかった。
少し話をして、京と空夜が戻ってきた。
「どのグループになったー?」
兼がワクワクした様子でそう尋ねる。
「鳥谷さんのところだよ。吹奏楽部の子たちがいたから。」
「なるほど、くーちゃんと俺と合わせやすくなるもんね。」
亜美香のグループは吹奏楽部の理央と梢、亜美香と仲がいい妃依と心乃実、それから芳子と万葉だそうだ。
正直、昴流は何人かの顔が浮かばない。
「鳥谷さん、俺と家が結構近いみたいで、だから2人で話し合ってダンスの振り付け決めることにしたから。2人で決めてから、みんなに踊ったやつを動画で送るね。」
「おっけぃ!きりちゃん、俺ダンスめちゃくちゃ苦手だけどよろしく頼むぜ……」
「俺も、リズム感覚には自信あるけど、ダンスは苦手だから……迷惑かけたらごめんね。」
すでにしょぼんとしている兼と、不安そうな空夜に京は任せて、とにっこり笑う。
普段は大人しいイメージだが、京は芯がしっかりしているのだろうなと昴流は思った。
「京、俺たちにも手伝えることあったら言ってね!」
「うん、ありがとう星谷くん。」
「……俺ら練習場所被ることも多いし、見たら踊れると思うから。もしなんかあったら声掛けて。」
昴流も一応、協力する意思を見せると京はふわりと笑った。
「ありがとう。昴流くんはフィギアで体動かすのにも慣れてるだろうから、頼りにしてるね。」
そう言われると悪い気はしなくて、けれど少し恥ずかしくて、昴流はそっぽを向いた。
「あれ?木之本照れてる?照れてる??」
うりうり、と光樹に弄られ、肘で小突く。
「あはは!きのちゃんって結構可愛いとこあるよなー!」
「昴流は素直になったらもっと可愛いよ。」
「空夜は黙っとけ。」
「素直な昴流くん見たいなぁ。」
「うるせぇ黙れ。」
「ねぇ、なんか昴流くん俺にあたり強くない?!なんで?!」
宏樹と他の人で態度を変えているつもりは無いのだが。
「俺悲しい……」
「悲しんでないのがバレバレだぞ。」
俊哉から冷静なツッコミを受け、宏樹が顔を上げる。
「級長の顔がすんってしてる。」
「ははは!ほしちゃんドンマイだな!きのちゃんに嫌われてんだ!」
「うわぁ……かしけんのがグサッと刺さる……」
「あれ?ごめん……?」
何が悪いのかわかっていないような兼に空夜が完全にツボに入って肩を震わせている。
「……はぁ、別に嫌いじゃねぇよ。嫌いだったら一緒に組まないし。」
「……!!昴流くーーーん!!」
ぎゅっと抱きつこうとしてきた宏樹だが、それはしっかり阻止した。
「えっなんで?!熱い抱擁を交わそうよ。」
「宏樹はなんでたまに変なことするんだ……」
呆れる俊哉と、笑う京の様子からするにこれは宏樹の通常運転らしい。
「暑苦しいな。」
「冷たい……」
口では言いつつも、昴流もなんだかんだこのメンバーでのやり取りは楽しく、文化祭も昨年より楽しくなりそうだと思った。
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