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〜空夜side〜
今回は昴流もちゃんと参加した終業式を終え、最後のHRをやって全体は解散。
しかし空夜たちはすぐに帰るでも部活に行くでもなく、廊下の掲示板に皆で向かっていた。
「はー、緊張する……!!」
テストの結果がここに張り出されていて、学年順位が総合得点とともに見られるようになっている。
テストの返却と1学期の成績表は郵送のため、ここでひとまずの成績の目安をつけることになる。
今回は皆で勉強した甲斐あってか手応えのあったらしい兼が何度も深呼吸していた。
1位 木之本昴流(B) 1196
2位 小野智陽(H) 1186
3位 野田航(A) 1180
4位 栗山巽(A) 1150
5位 戸田かおり(C) 1146
6位 濱本棗(E) 1135
7位 藤原尚香(G) 1130
8位 霧谷京(B) 1126
9位 金本花(E) 1100
10位 赤津空夜(B) 1095
空夜は早速自分の名前を見つけた。順位、総合得点共に自己ベストを大幅に更新している。
(ってかトップ5やばいな?!)
満点は100点満点12教科で1200点。
全教科95点でも1140点なのだ。昴流に至っては4点しか落としていない。
「くうちゃん!!!あった!!あったぁぁぁぁ!2桁のったぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
兼がぴょんぴょん跳ねながら肩を叩く。
兼の順位は96位。
前年の学年末は190位程度だったと聞いているから、ものすごい進歩だ。
後半になると1点差で順位が大きく差がつくとはいえ、半分以上順位を上げている。
平均点も70前後だろう。
「かしけん!順位どうだった?くーちゃんは10位だったよね!!おめでとう!」
宏樹と昴流がこちらにやって来る。
昴流は大して興味もないのかちらりと点数だけ確認して、すぐにスマホをいじり始めた。
「96位!きのちゃんたちのおかげだよぉぉぉ!」
「おおおー!!!」
「ほしちゃんは?」
「俺は68位!」
「おおー!上がってるな!あれ、むらちゃんは?」
「あ、もう部活行っちゃったけど、俊哉は73位。前回はかなり下だったから、すごく伸びてるよ。」
「そうなのかっ!」
2人が楽しそうに話しているのを聴きながら、空夜は陸玖の名前も探した。
「え?!」
「……どうした。」
「陸玖が新より順位上。」
「まじか?!」
昴流も急に視線を移し、陸玖の名前を探す。
陸玖は48位、新は50位だった。
全学年の人数は314人だから50位でも上位6分の1には入っているので新が低いというのではない。
しかし陸玖が50位を切り、しかも新より点数が上というのはかなり珍しい。
今回は数学が足を引っ張らなかったのだろう。
(いつも数学だけ0点とかあるからな……)
順位だけで見ると140位前後で中盤なのだが、その内訳は酷いものだ。
「やっぱあいつのテストは数学なんだな……」
「だね。」
2人で思わず苦笑する。
「てかアイツもすげぇじゃん。」
「あいつ?」
「野田航。空夜の彼氏候補。」
皆はテスト結果に夢中で話など聞いてもいないが、空夜は焦って昴流の方を見た。
「何、隠してんの?」
「いや、そういうわけでは、ないけども。なんか恥ずかしいじゃん。」
「へぇー?」
ニヤニヤ笑う昴流は、人の惚気話を聞くのはあまり好きではないはずなのだが。
「まあでも、空夜より頭のいい男か。少し株上がったな。」
「昴流は俺の何……?」
「……兄貴の前の関門?」
「……やっぱお兄には怒られるかな。」
「怒るっつか、めちゃめちゃ探り入れてきそう。」
ニコニコしながら質問攻めする春陽の様子が容易に目に浮かんだ。
「あとは性格と気持ちだな。」
「ほんとに昴流は俺のなんなの?」
言いながら笑っている昴流は、この状況を楽しんでいるとしか思えなかった。
「そういえば京くんは?」
「んぁー、鳥谷と植山とダンスの振り付け考えに行った。」
「えっ、そうなんだ!」
「そー。元々鳥谷と2人の予定だったらしいけど、植山が泣きついてきたんだってさ。」
「そっかぁ、司くんと京くんに任せちゃったからなぁ。」
「まあ平気だろ。柊木もしっかりしてるやつだし、京がいるならなんとでもなるだろ。」
いつの間にか京とはかなり仲良くなっているように見える昴流だが、なにか個人的なやり取りでもしているのだろうか、と興味が湧いた。
しかし聞いても答えてくれないだろうと思い、心の内に留めた。
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