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~春陽side~
「春陽、春陽。」
「ん……んー?母さん……」
「さすがに起きたら?もう12時だよ。」
「え?!」
「よるちゃんもう起きてるよ。」
「え?!?!」
二重に驚き、春陽は飛び起きた。
「えぇ……よる、起きたなら起こしてくれればいいのに……」
「よるちゃんも10分前くらいに起きたよ。2人ともよく眠ってたね。」
くすくす笑う恋の様子からして、本当に2人して昼まで寝こけていたらしい。
「昼ごはん、もう用意してあるけど食べれそう?」
「あ、うん。食べる。」
「よるちゃん先に食べてるよ。」
「ん、顔だけ洗ったら行くね。」
恋はすぐにテーブルにつき、春陽は洗面所に向かう。
ササッと顔を洗って、春陽も座った。
「いただきます。」
よると瑠梨は仲良く話しながらもう半分ほど食べ終わっている。
「そうだ、この後新学期に使いそうなもの買い物してくるけど、よるちゃんは何か必要なものある?」
「えっ?!私ですか?私は別に……」
「ん、紘さんから学用品代貰ってるから、よるの必要なものはそれで買ってほしいな。」
「あ、そうなの?」
「私、別に必要なものないですよ……」
「ほんとに?ノートは?雑巾とかは?」
「それくらいなら自分で……」
「事務所のアルバイト代なんて微々たるものでしょ。それはよるが友達と遊ぶ時に使えって紘さんも言ってるじゃん。」
「よるちゃん、大人に甘えられるうちは甘えとくといいよ。」
「でも……」
「そのうちなんでも自分でしなくちゃいけないときがくるからね。」
両親を早くになくしている恋の一言は、妙に説得力がある。
それは、事情を知らないよるにも同じようだった。
「では、お言葉に甘えて……」
「うん。それじゃ、どうする?自分で見た方がいい?」
「そうですね……荷物も増やしてしまいそうですし、私一緒に行きます。」
「るりもいきたい!」
「瑠梨も?でも歩くの疲れちゃうでしょ?春陽とお留守番してたら?」
「やーだー!よるちゃんといくの!」
随分よるに懐いているらしい。
「それなら、俺が車運転しようか。」
春陽は車は持っていないが免許は持っている。
仕事上使うこともあるので、それなりに運転もできる。
「そう?じゃあ、千秋に車借りようかな……レンタカーは少し遠いしね。」
「うん。今日紘さん休みだし、よるのもの買いたいって言ったら貸してくれるよ。」
昼食を食べ終え、無事に車も借りられたので、4人で買い物に行った。
学校で必要なものを先に購入し、その後で夕飯の買い物や明日以降使うものの調達もすませる。
恋が肉を買っているのを待っている時のことだった。
よるがショーケースをじっと見つめていた。
(珍しいな。何見てるんだろ。)
そう思って視線の先を見ると、可愛らしいサンダルがあった。
ヒールで、花のモチーフがついている。
(欲しいのかな。)
「どうかした?」
「あ、おかえり。荷物もらうよ。」
恋が戻ってきたので、増えてしまった荷物を少し受け取る。
「ありがとう。それで、どうしたの?」
「んー、ちょっと……よると先にいっててくれる?」
「……?うん、わかった。」
よるにも声をかけると、ハッとした様子で恋の方に行く。
荷物で手がいっぱいの恋にかわって、瑠梨と手を繋いでくれていた。
3人を見送って、春陽はSHOES Aに入った。
(うわぁ、さすがUH。いい値段するな。)
ショーケースにあったサンダルの値札を見て、春陽はそんなことを思った。
もちろん手頃な値段のものもあるが、これはそれなりの値段だった。
「……春陽くん?」
「えっ、あ!昴流!!」
後ろから声をかけられて振り返ると、アルバイト中の昴流の姿があった。
「あれ?バイト先……」
「あー、ここじゃないよ。今日はヘルプ。ここ店長の前の店だから、たまに駆り出されるんだ。」
「へー!」
「それ……」
「えっ?!あ、違う違う!」
なにか勘違いをされていそうなので、よるのことを簡単に話した。
「ふーん……確かに高校生には高いよね。俺もバイト代めっちゃ貯めていろいろ買ってるし……」
「そうそう。あまり物欲しがらない子でさ。そろそろ誕生日だから、紘さんと俺からってことにしようかなって。」
「……それなら、これ使えば?」
「なにこれ?」
「この前おじいちゃんがくれた。俺使わないって言ってんのに、それなら友達にあげろって……断りきれなくてもらった。」
それはUHのブランド品の割引券。
正直、紘からもらったお金の余りだけでも買えるのだが、昴流の気持ちも嬉しいので貰っておく。
「ありがと。それじゃ、包装お願いしてもいいですかね、店員さん。」
にっこり笑うと、昴流も店員モードでかしこまりました、と返してくれた。
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