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~空夜side~
12時前
「あ、空夜くん。」
「京くん!早かったね。」
陸玖と紛らわしいので名字呼びをやめてもらったのだが、名前にくん付は珍しくてまだ慣れない。
「……あれ、少し疲れてる?」
「えっ?そうかな……」
「うーん、気のせいならいいんだけど、顔が疲れてるような……」
「実は、鳥谷さんとずっとダンスの話してて……鳥谷さんも疲れてると思う。」
京はそう言って苦笑する。
2人の家はかなり近かったらしく、近所の公園で振り付けを決め、空夜たちに動画を送信してくれた。
8月最後の週に1度男子全員で集まることになっているが、空夜はまだ振り付けに格闘中だ。
(最悪昴流に泣きついて教えてもらうしかない……)
「鳥谷さんとは仲良くやれてる?」
「えっ?!」
「えっ?」
一応、アレルギーの騒動があったので聞いただけなのだが、京の反応が予想外で空夜はきょとんとしてしまう。
「も、もしかしてうまくいってないの?」
「いやっ!喧嘩してるとかではないし、上手くいってる……と思う。」
なぜここで自信が無くなるのだろう。
「京くん、鳥谷さんと何かあったの?」
「えっ、いや……そういうわけでは、ないんだけど……」
なんだか歯切れが悪い。
しかし亜美香と揉めているというわけではなさそうだ。
待ち合わせの時間まではまだ10分ある。
「俺でよければ、話聞くよ?困ったことでもあるの?」
「じ、実は……」
京が空夜の方を見た時だった。
「2人とも早いな。」
「「わっ?!」」
「……?悪ぃ、後ろから話しかけて……」
俊哉が到着してしまった。
2人して驚いてしまったからか、俊哉は不思議そうにしつつも謝ってくれた。
「いやいや、こっちこそごめんね!」
「空夜も京も、脅かされるのとか苦手か?」
「そういうわけじゃないんだけど……ちょっと京くんと話に夢中になってて。」
「そっか。京もごめん。」
「ううん!気が付かなくてごめんね。星谷くんとは一緒に来なかったの?」
「あー、あいつ寝坊してギリギリになりそうだから、先行ってろって言ってきたから。」
「そうなんだ。ゆっくりでよかったのに。」
「まあ、宏樹のギリギリになりそうは2分前とかだし。」
「指定の時間には間に合うんだ。」
「星谷くんっていつもそうだよね。クラスでの練習とかでも5分前までに着けないとギリギリになりそうとか遅刻しそうとか連絡くるから。」
真面目だなぁと空夜は思う。
(まあ、俺も心配でかなり早くついちゃうんだけど。)
「あ、駅着いたってよ。」
約束の12時になろうかという頃、俊哉の元に宏樹から連絡がきたようだ。
「ごめんお待たせ!」
「あ、星谷くん。」
「宏樹くん、慌てなくてよかったのに。」
「いやいや!3人待たせてるから、さすがにちょっと急ぎ足で来たよ。」
宏樹はそう言って苦笑する。
「外暑いしね。」
「確かにな。2人とも早くから外いたけど、平気か?喉乾いてない?」
「大丈夫だよ。」
「俺も。水筒持ってきたし。」
「さすがだなぁ京は。」
「空夜くんも水筒持ってたよね。」
「あ、うん。」
「くーちゃんも?偉いなぁ。」
「俺は用意したの冷蔵庫に忘れてきた。」
俊哉が真顔でそう言うので、思わず3人で吹き出した。
「さて、それじゃ行きますか。」
「おー。」
今日の行先は屋内ゲーム施設。
VRを使ったゲームや体を使ったアスレチックゲームなど、様々なゲームが楽しめる大型施設だ。
隣接するビルに服や雑貨が売っている店や飲食店もあり、そこに行けば1日楽しめる。
ここはその施設の最寄り駅だった。
「えーっと、こっちだね。」
宏樹がスマホの地図を見ながら、道を指す。
10分ほど歩くと着くらしい。
歩き出すと自然に宏樹、京と俊哉、空夜で並ぶことになる。
(そうだよな、宏樹くんと京くんのためのお出かけだし。)
しかし、京と亜美香のことが少し気にかかる。
(まあ、どこかのタイミングで話せればいいかな。)
1番遅くとも帰りの電車では2人きりで話せるだろう。
そこで何があったか聞けばいい。
ひとまずこの時間は楽しむことに決めた。
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