アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
114
-
~悠平side~
待ち合わせ時刻の5分前、学校の最寄り駅。
立っている陸玖の頭の上にワクワクという文字が見える気がする。
周りには女の子がたくさんいて、陸玖をちらちら見ては何か話している。
(まああいつ、顔いいからな。)
母親に似ていると本人は言っているが、赤津琉の面影も感じられる。
双子の弟、空夜よりも背が高く、短髪は爽やかな印象。
つまるところ、モテる。
何となく声をかけにくいなと思い、メッセージを送ると陸玖がキョロキョロしだす。
そしてこちらを見つけるとぱぁぁっと顔を輝かせて走ってきた。
(犬か。)
思わず心の中でそう突っ込んだのは、尻尾をブンブン振っているように見えてしまったからだ。
「ゆうくん!」
(眩しっ。)
にぱーっと笑っている圧倒的光属性のこの男。
視界には悠平しか入っていないらしい。
「えへへ、ゆうくんと学校以外で会えるの嬉しいな。」
「そうかよ……んで、どこ行くんだ。」
昨日の連絡では、2人で遊びに行きたいというメッセージだけ。
その後の電話でも待ち合わせ場所と時間くらいしか決めていない。
「とりあえずカラオケどう?」
「あー、いいけど。」
「やったっ。俺ゆうくんの歌好き。」
野球部で1度だけカラオケに行ったことがあるが、陸玖が悠平の歌を聞いたことがあるのもその1回だけのはずだ。
(よく覚えてんなぁこいつ。)
「昼飯どーする?カラオケに持ち込む?」
「だな。カラオケで頼むと高いし。」
「だよねー。ゆうくんは何食べたい?」
「普通にコンビニでいいんじゃね?」
「そーする?じゃコンビニ行こ。」
終始ご機嫌そうに笑っている陸玖を見ていると、こちらも頬が緩んでくる。
2人で昼食とお菓子を調達し、カラオケに入る。
「時間どうする?」
「この後ゲーセン行かね?」
「あ、いいね!じゃあ2時間にしてもらって……」
ゲームセンターに行く目的はゲームではなく、バッティングセンターが中にあるからだ。
バットはさすがに持ってきていないが、貸し出してもらえる。
「バット持ってきたらよかったー。」
「重いだろ。」
「それもそっか。」
飲み物をとって部屋に入る。
陸玖がすぐに冷房をつけ、テキパキとセッティングしていく。
「とりあえず歌うかー!」
「おー。お前先入れろよ。」
陸玖が最初に選んだのは、KENGOのバラード。
KENGOを好んで聞いているのは知っているが、いきなりバラードを入れてくるとは思わなかった。
特別に歌が上手いというわけではないものの、陸玖は歌声が綺麗で聞き心地がいい。
歌詞の内容のせいもあるのか、愛の告白でも受けているみたいだ。
(とりあえず俺の入れるか……)
黙ってじっと聞いているのはなんだか恥ずかしくて、悠平はデンモクに視線を落とした。
*
「ゆうくん歌うまー!」
「んなことねえわ。」
「絶対うまい!」
「空夜の方がうまいんじゃねえの?」
「うーん……?空夜とはカラオケ行かないからわかんなあなぁ。」
「へー。お前らどこでも2人で行ってそうなイメージだった。」
「小さい頃はほんとにどこ行くにも一緒だったけど、中学入ってからは割とバラバラかなー。」
カラオケのすぐ側にあるゲームセンターに到着し、迷うことなく1番奥に入っていく。
よく使うので店員とも顔見知りだ。
「あれ、私服だ。珍しいね!」
「今日はオフなんですよー!」
「そうなんだ!2人とも打ってく?」
「はいっ!」
「っす。」
「じゃあはいっ。」
バットとカードを手渡される。
お金を払ってお互い違う球速を選んでバッターボックスに入った。
無心で球を打つのは気持ちがいい。
20球終えて外に出る。
陸玖も同じくらいのタイミングで外に出てきた。
「すっきりしたー!」
「だな。」
「ゆうくんあとやりたいことある?」
「特にねぇけど……プランはねえの?」
「ないんだけど……プリクラ撮ってみたい!」
「……はぁ?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
122 / 189