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~悠平side~
「ぶわっははは!!!」
「ちょっとゆうくん笑いすぎ!!」
「だって、おまっ、ぐふっ……」
陸玖の要望で撮影したプリクラ。
スマホに送信されてきたそれを見て、悠平は笑いが止まらなくなっていた。
「盛られすぎだろ……」
「ゆうくんだって盛られてるでしょ!」
「陸玖の方が……っくくく……」
大きな瞳につやつやの真っ赤な唇。
白い肌はスベスベ感が出ていて、何回見ても面白い。
「可愛いよ。」
笑いを隠さずそう言うと、陸玖はむぅっと拗ねた。
「俺はゆうくんにはかっこいいと思われたいのに……」
本当にそう思っているなら、まずは試合前のヘタレ具合を何とかした方がいいだろう。
「いいじゃねーか。等身大のお前で。」
「……いいこと言ってるけどこれは等身大じゃなくない?!」
「ふふっ、くくくっ……」
確かに、プリクラは『等身大』ではないかもしれない。
「まあでも、かっこいいとかどうとか、そんなんはどうでもいいよ。」
スマホを閉じてポケットにしまう。
陸玖の方を見ると、首を傾げられた。
「別に陸玖のかっこ悪いとこ知っても嫌いにならないし。つーか今更だろ?ヘタレなとこあるわ、変態なとこあるわ……」
「うぐっ……」
「俺はお前がかっこいいから付き合ってるわけじゃない。まあそりゃ、かっこいいと思う部分もあるけどな。それだけじゃねぇよ。」
「……待って待って待って、さりげなく褒めないで?!」
「んだよ、不満か?」
ゲームセンターを出て、特にあてもなく歩く。
陸玖は後ろからついてきた。
「いや、かっこいいと思う部分あるの?聞きたい、どこ?どこらへん?」
「……顔?」
「顔!」
「あと声とか?」
「声!!」
「あんま嬉しそうじゃねえな。」
「そりゃまあ……期待してたのとは違ったというか……」
「お前の中身をかっこいいって言うやついんのか?」
「ひどい。」
「まあ、優しいとは思うけどな。」
「……ほんと?」
「よく色んなやつの手伝いしてるだろ?」
高いところのものをとるとき、重いものを運ぶとき、陸玖はよく他人の作業を手伝っている。
それは男女関係なく、体格で決めているようだった。
無理のある高さのものは男女問わず取ってあげる。
体格が小柄だったり細い人が重いものを持ち運ぼうとしていたら代わりにやる。
それは教師にも生徒にも、全く知らない人でも同じこと。
ニコニコしながら手伝っている様子を見ると、優しいな、と思う。
「それはまあ、うちの家訓というか?」
「困ってる人は助けろ的な?」
「そんな感じかな……自分のやれることは自分でやる、余裕があったら周りを見る、自分が困ったら助けを求める。そういうことを躊躇いなくしなさいって、昔からよく言われてた。」
「へぇ。」
「自分も無理するなって。」
「確かにな。周り助けてばっかで自分がきつくなってちゃ本末転倒だな。」
「うん……その点では春兄のこと気になるんだけどね。」
「兄貴?」
「そう……なんていうか、あんまり弱いとこ見せないから。」
陸玖の表情が曇る。
本当に心配らしい。
「まあ、家族以外に打ち明けてるってこともあんだろ。長男だと、下のやつには言いにくいこととかあんだよ。」
悠平にもそういうことはある。
弟妹が幼いということもあるが、下の兄弟の前では『お兄ちゃん』でいたいのだ。
「ゆうくんがそう言うなら、そういうもんなのかな……」
「陸玖の兄貴もそうとは言いきれねえけど、そういう可能性もあると思う。」
「そっかぁ……」
話が途切れて、会話がなくなる。
「ところで、この後とどうすんの。」
「へ?」
「ゲーセン出てきちゃったけど、なんかしたいことあんの?」
「なんも……」
へらっ、と笑う陸玖はノープランでここまできたようだ。
(もう帰ってもいいっちゃいいけど……)
時刻は16時になろうかというところ。
何もしたいことがないのなら解散したって構わない。
(でもこれって、デートだよな。)
普通の友人でもするような遊びをしているけれど、2人の関係は恋人だ。
これはデートだ。
(……もう少し一緒にいたいとか、思ったり。)
今日は母親に遅くなるかもしれないと伝えてある。
悠平も、少なからず浮かれていた。
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