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~夏紀side~
「んで、相談ってのはその婚約解消について、外部からなんとかしたいってことか?」
「違う……それは俺が直接しなきゃいけないことだし。そうじゃなくて、俺、好きな子に思わず告白しちゃって……」
「おぉ……?」
「それが、今年の夏前なんだけど……その、すごく真剣に考えてくれてて、そしたら婚約の話するの怖くなって……」
「おまっ、まさか黙ってんのか?!」
「黙ってた……だけど、新学期になって、美紅がうちの学校に転校してきたんだ。それで、その、好きな子に婚約してることが今日バレて……」
「うわぁ……それは最低だぞ。」
「分かってる……でも、話すチャンスが欲しくて……どうしたらいいかな?部活同じなんだけど、今日は部活休んでて、会えなくて……」
「よく休むのか?そいつ。」
「ううん。体調不良以外で休んだことないよ。」
「それ、避けられてないか?」
「……やっぱそうなのかな?どうしたらいいんだろ……LINEも既読つかないし、電話する勇気はさすがにない。」
「学校で話すしかないだろ……」
「美紅と同じクラスなんだけど……」
「まじか。」
それなら先に婚約解消した方がいいのではないかと思うが、その間に拗れて、好きな人との関係修復ができなくなる可能性がある。
「言って分かってくれそうなの?」
「わからない……社長子息とかとも仲いい子だから、事情はわかってくれると思うけど……隠してたのはよくなかったと思う。」
「最初に婚約解消するまで待ってって言っとけばいいのに……一応、今日までは付き合ってたのか?」
「ちょっと、微妙な関係で……保留になってた感じ。」
「ほーん……まさか手出してねえだろうな?」
その微妙な関係で体の関係ありました、けれど婚約については知りませんでした、なんてのは最悪も最悪だ。
「出してないよ!デートに数回行ったくらい……告白した時、キスはしちゃったけど……」
なんとなく状況が読めた。
本当は婚約解消するまで言うつもりはなかったが、なんらかのきっかけで好きな気持ちが大きくなりすぎて、思わずキスしてしまった。
結果的に告白せざるを得なくなり、保留状態。
モタモタしている間に美紅が転校してきて、話す前にバレてしまった、というところだろう。
「はぁぁ……どうしよう……」
「とにかくその子に謝るしかないだろ。航は真剣なんだよな?その子のこと。」
「うん。」
「じゃあ、とにかく謝って、ちゃんと話をすること。それから、婚約解消のことも、その子には伝えておけよ。口が軽いなら話は別だが。」
「口は堅いと思うよ。」
「それなら伝えておけ。家の事情があってすぐには断れないって。」
「うん、そうする……とりあえず話せるように頑張るよ。」
「そうだな。まあ、なんかあったらまた連絡しろよ。今の連絡先知ってたっけ?」
「えっと……これで変わってないよね?」
「おう、それ。」
「うん、じゃあ持ってる。」
「いつでも話聞くから。ただ、隠してたのはお前が悪いからな。その点で振られても俺は庇わないぞ。」
「わかってるよ。」
航にも航の事情があるのは、夏紀にもわかる。
美紅は幼馴染ではあるのだから、傷つけたいわけでもないだろう。
航が真剣に好きになる子なのだからきっといい子だ。
話し合えればわかってくれるだろうし、友達には戻れるだろう。
そこで付き合うか付き合わないかはまた別の話だが。
「ありがとう、夏紀にいさん。」
「いいえ。頑張れよ。」
航を見送って、スマホを開く。
「ん?」
珍しく春陽から、連絡が入っていた。
しかも今日会えますか、という内容だ。
(春陽からお誘いなんて珍しいな。)
思わずニヤけそうになる頬を引き締め、今からなら大丈夫だと返す。
すぐに既読がついて、会社近くのカフェを指定された。
(……なんかあったのか?本当に珍しい。)
やり取りの途中ならまだしも、こんなにすぐ反応があることはそうそうない。
春陽に何かあったか、探偵の仕事関係の話か、なんにしても少し急ぎの用なのだろう。
隠密な話なら家にするかと返してみるが、カフェでいいと帰ってきた。
そこまで重要な話ではないのか、ただの相談なのか。
「うーん……」
気になるが、とにかくカフェに向かってみることにした。
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