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~空夜side~
9月8日
「1、2、3、4、5、6、7、8……」
パンパンと手拍子でカウントをとってくれる宏樹の声に合わせ、最初から動きを確認していく。
文化祭まであと2週間と少し。
部活後にダンス練習をするのは先週から続いている。
「うんうん!今のめっちゃいい感じ!」
先週末、航にLINEをした。
文化祭の前には話をするから、少し時間が欲しい。
そう伝えると、航はわかったとだけ返事をくれて、学校では部活以外で話しかけてこなくなった。
京と黎と話をして、空夜も気持ちを整理してまとめながら、どんな話になってもいいように心の準備を進めている。
心配してくれている春陽にもそのことは伝え、あとはいつ話すかということだけだった。
「はいっ、OK!今日の目標達成ー!」
「ひぃー、なんとか踊れた!」
「うんうん、かしけんもちゃんとできてたよ!光樹はセンスいいね!くーちゃんもとしも自信もってしっかりやれば、かっこいい!」
宏樹はニコニコしながら皆のことを褒めてくれる。
「そろそろ、昴流か京に1回見てもらいたいね。俺も踊り確認して欲しいし!」
「そうだな。昴流に頼んでみるか?京は植山の方も見てるし。」
「だね。くーちゃん、明日は文化祭クラス委員の仕事あるんだよね?」
「あ、うん。」
「じゃあ明後日だな。」
俊哉がスマホを取り出し、昴流に連絡してくれている。
「文化祭も近くなってきたなー。」
「それな。つーかさ、2学期行事多すぎじゃね?修学旅行の班決めとかもしなきゃいけないよな。」
光樹がそう言うと宏樹が頭を抱える。
「そうなんだよー!級長忙しくて死にそう。」
「木之本も忙しそうにしてるよな。級長もだけど、やっぱ生徒会長忙しいんだろうなぁ。」
「だなぁ。きのちゃん、最近昼休み教室にいないもんな。」
「……もしかして明後日も忙しいか?」
俊哉が心配そうにそう言うが、放課後の活動はある程度セーブしていたはずだ。
「放課後は大丈夫じゃないかな?1回見てもらうだけだから、昴流くんの時間もあまり取らないし。」
「そっか。それならいいんだけどな。」
吹奏楽部の方もどんどん準備が進んでいて、学校全体の雰囲気も一気に文化祭ムードだ。
「さてー、今日は帰りますか。」
「そうだね!ほしちゃんいっつもありがとな!」
「ホントに。級長のおかげでマジで助かってる。」
「そんなそんな!俺も確認できるし!」
「今後もみんなで頑張ろうね!」
「空夜は頑張りすぎんなよな。」
「ほんとそれな?!むらちゃんの言う通りだぜ!」
「えぇっ?」
わーわーと言いながら片付けして、最後に皆で気合いを入れ直して帰路に着いた。
*
「ただいまー。」
「おかえり。今日も遅かったね。また練習してたの?」
「うん。」
「お風呂空いてるから、入っておいで。」
恋がそう言って荷物を預かってくれる。
「お母さんありがとう。」
その優しさに甘えて、すぐに入浴を済ませる。
それから琉が帰宅し、入浴を終えると夕食。
春陽が帰宅しないのが珍しいが、仕事が長引いているのかもしれないなと思った。
食後、恋の手伝いを終えて果物を食べていると、玄関のチャイムが鳴る。
「俺出るよ。」
瑠梨を寝かしつけようと抱き上げたところだった恋にそう声をかけ、空夜はモニターを見る。
(あれ、紘さん?)
不思議に思いつつ扉を開けると、紘の横にフラフラになった春陽がいた。
「お兄?!」
「悪い、みんなでご飯食べてたんだが、春陽が間違えて酒飲んでな……その一口でべろべろになっちゃったんだ。」
「んー……ぅぅ、はきそう……」
「うわっ、お兄、吐くならトイレっ……!」
「ん?どうした。」
「お父さんっ、お兄が酔っ払った。」
「はぁ?!」
トイレから出てきた琉が紘から春陽を預かる。
「間違って飲んじゃったんだ。」
「なるほど……」
「んぅぅー、なつきさんはどこぉ?」
「……こりゃ相当酔ってんな。」
「なつきぃー……いっぱつなぐって、やるぅ……」
「うわわ……紘さん、迷惑かけてごめん。」
「いや、こちらこそごめんな。こんなになっちゃって……あと任せるな。」
「うん、ありがとう。」
「ありがとうございました。」
紘に礼を言い、琉が春陽を連れてリビングに向かう。
春陽はふにゃふにゃのまま、ソファに横になってうとうとし始めてしまった。
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