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~夏紀side~
「なつきぃー、なつきはどこだぁ?」
「……ごめんね夏紀くん、急に呼んじゃって。あんまりうるさいし、駄々こねて泣くから……」
リビングから漏れてくる声を聞いて、出迎えてくれた恋が謝る。
「うぅぅ、なんでこないのぉ!なつきさぁん……」
「ずっとあんな感じで?」
「そうなの……春陽がなんか当たっちゃったんだって?ごめんね、まだ子どもで。」
「いや、俺の言い方も悪くて、春陽の気に障ったんだと思います。リビング入っても大丈夫ですかね?」
「多分平気。もしなんだったら泊まっていってね。多分、ずっと駄々こねてると思うから……」
苦笑する恋に連れられ、夏紀もリビングに入る。
間違って酒を飲んでしまったというが、これでは成人しても酒は制限しないといけないなと思った。
「あぁぁぁー!なつきさんだぁー!」
「ちょっ、お兄?!暴れないで、危ないでしょ!」
どたんっとソファから落ちた春陽を空夜が心配する。
「ばぁーか!あははー!」
(酔っ払いめ……)
にへらー、っと笑った春陽に、夏紀は頭を抱えた。
「まったく……失礼なこと言ってごめんね。初めて酔っ払ってるから、大目に見てあげて?」
「あぁ、全然気にしてないので。えーっと、春陽の部屋って……」
「あぁ、2階だけど、昂もいるから……書斎使って。」
「お母さん、書斎今お父さんいるよ。」
「うん、寝室に移動してもらうから。」
少しして琉が出てきた。
「夏紀くん、悪いな。夏紀くんをよこせって聞かなくてな……」
明日の仕事の確認でもしていたのか、台本を持っている。
「いえ。明日は仕事休みですし、大丈夫です。」
「ほら春陽、いつまで床に寝そべってるんだ。」
床でゴロンゴロンと遊んでいた春陽は、琉に声をかけられて体を起こす。
「ぅんんー?なつきさん、ふたごなったぁ?」
「なってないよ。ほら、寝るぞ。」
「わー、えっちぃー!」
抱き上げるときゃっきゃっと楽しそうにして、そんなことを言う。
いくら公認とはいえ、高校生と両親の前でそれは恥ずかしいのでやめて欲しい。
「……そういえば、女の子はいなくなったんですか?」
「あぁ、よるちゃん?よるちゃんは事務所の近くに家を借りたんだよ。」
「よるのはなし、いまいらないでしょ!なつきさんはおれのだもん!」
「ん"ん"っ……えぇと、それじゃあ書斎、借りますね。」
「うん、ごゆっくり。本当にごめんね。」
苦笑する琉と、申し訳なさそうな恋に頭を下げ、書斎に入る。
すぐ後で、空夜が2人分の着替えを持ってきてくれた。
「あの、夏紀さん。」
「ん?どうかした?」
「お兄、夏紀さんと喧嘩したんだよね……?」
「あー、いや、まあ……」
「それ、多分俺のせいだから……」
どうやらこの前の話は空夜のことだったようだ。
(……ということは、航は空夜が好きなのか。)
確かに空夜はとてもいい子だし、優しいし、しがらみばかりの航が惚れるのもわかる気がした。
「お兄のこと、嫌いにならないよね……?」
「ははっ、そんなんでなるわけないだろ。空夜が気にすることじゃないよ。」
ぽんぽん、と頭を撫でるとホッとしたように微笑む。
(うーん、これは確かに可愛いかもなぁ。)
夏紀は、弟的な可愛さを感じているが、航はきっとそうじゃないんだろう。
しかし、こんなに優しい子に嘘をついていたとなると、やはり航の行動はいただけない。
「俺、もう大丈夫だから、お兄と仲直りしてね?」
航から解決した、という話は聞いていないが、何かしら前進したのだろうか。
空夜が嘘をついているようには見えないので、夏紀は頷いた。
「怒ってないし、すぐ仲直りするよ。」
「そっか……ならよかった。おやすみなさい。」
「うん、おやすみ。」
空夜が部屋を出ていき、ベッドの方を振り返る。
「春陽、着替えるぞ。」
「んー?やだぁ。」
へへへ、と笑う様子は可愛いが、ここで駄々をこねられても困る。
「着替えて一緒に寝よう?」
「んんー……きがえさせてー?」
可愛いがカンストしている。
普段こんな甘え方をしてくることはまずないし、ぐりぐりと頭を押し付けてきて、完全に甘えん坊になっている。
「ねーぇー!はやくぅ!」
んっ、とばんざいする春陽はポーっとした顔に紅潮した頬、体はあまりに無防備だ。
(ふー、我慢。我慢。)
何とか言い聞かせて春陽の着替えを手伝い、自分も借りた服に着替えた。
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