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~春陽side~
陸玖や空夜、昂は学校に行った後、恋は瑠梨を幼稚園に連れていった。
琉は仕事に出ていて、家には春陽と夏紀だけ。
春陽は今日は在宅で仕事だった。
「夏紀さん。」
「んー?」
「確かに仲直りはしましたし、俺が悪かったとは思うんですけど、これは邪魔です。」
パソコンに向かい、座っている春陽の後ろから抱きついてきている夏紀は、離れる気配がない。
「夏紀さん。」
「昨日あんなに甘えてきて可愛かったのに。」
「…………それは忘れてください。」
「嫌でーす。あんなに可愛い春陽のこと忘れるなんてありえないでしょ。」
「はぁ、最悪だ……俺に魔法が使えたら今すぐ記憶を消すのに……」
「そんなに嫌がらなくても。俺は嬉しかったけどな。」
夏紀が喜んでいるからいい、なんてことはない。
恥ずかしいし、シラフで甘えることへのハードルが上がってしまった。
「そんなに忘れて欲しいなら、シラフで俺に甘えてよ。」
「今の流れで、わかりましたって言うと思いました?」
「えー、いいじゃん。あれはお酒に酔ったからで、春陽の意思で甘えてくれたんじゃないわけでしょ?なら、今意図的に甘えてよ。」
「……まず今仕事中なんですが。」
「ほとんど終わってるでしょ?」
バレている。
ほとんど作業が終わっているから、在宅なのだ。
「というか、夏紀さん仕事は?」
「休みですよー?」
分かっていたが、やはりそうか。
逃げ道がない。
「じゃあせめて、終わるまで離れててくれません?これ今日終わらせたいので。」
「わかった。」
案外あっさり離れていって、拍子抜けした。
(まあ、いいか。)
ひとまず集中。
キーボードを叩く音だけが部屋に響く。
「ふぅ……」
「終わった?」
「は、はい。」
春陽が息をひとつ吐くと、夏紀はすぐに反応した。
「お疲れ様。」
「どうも……」
「で、春陽はどんな風に甘えてくれるの?」
当たり前だが、逃がしてくれない。
これはもう、諦めてやるしかないだろう。
(なんだっけ……?膝枕?抱きつくとか、キスも?)
龍久との会話を思い出しながら夏紀に近づく。
「夏紀さん……」
「ん?」
夏紀は書斎のベッドに腰かけて待っていて、春陽からなにか仕掛けないと何もしてくれなさそうだ。
「……ん。」
両手を広げて、抱きしめて、とアピールする。
夏紀はきょとん、としていたが、少し腰を浮かして春陽を抱き寄せてくれる。
「これで合ってる?」
「……うん。」
「ははっ、かぁわい。」
夏紀の足を跨いで抱きつく形になって、恥ずかしくて肩に顔を埋めた。
「あとは?」
まだもっと、ということらしい。
「……ちゅー、して。」
「ん、こっち向いて?」
顔を上げると、ちゅ、と唇が触れ合う。
「もっと?」
コク、と頷くと唇を食まれて、舌が入ってくる。
優しく春陽の舌を絡めとられ、甘いキスになる。
「ん……」
きゅっと背中側で服を掴むと、よしよしと頭を撫でられた。
しばらくそうしていたが、唇が離れていって、夏紀と目が合う。
「ごめんな、春陽。」
「夏紀さんは悪くないです……俺が一方的に怒ったし……」
「でも、俺の言い方が悪かった。春陽のこと、ちゃんと考えてないみたいだったよな。ごめんな?ちゃんと、春陽のことも大好きだし、春陽の家族のことも大切に思ってるよ。空夜くんが傷ついてもいいなんて思ってないし、春陽の味方もしたい。それでも航を庇ってやりたいってことを、伝えればよかったんだよな。」
ちゃんとわかってくれていて、やっぱり夏紀は大人なんだと思う。
「春陽のこと大好きだよ。」
「……俺も。俺も、夏紀さんのこと、大好き……」
そう言うと、夏紀はものすごく嬉しそうに微笑んだ。
その晩も琉と話していて遅くなってしまい、泊まることになった夏紀と、空夜からとりあえず解決したという話を聞いて、一安心したのだった。
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