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~空夜side~
「え!!」
空夜は別に、隠すつもりは無い。
けれど、俊哉はあまり航に知られたくないのではないかと思っていたので、そう言ったことが意外だった。
「……それ、お前、ここで言って良かったのかよ。」
昴流にそう言われて周りを見回せば、席の近い人には聞こえている。
(あ、あー……)
「……空夜ごめん。もしかしてよくなかった?」
「あ、いやっ、えっと、俺は平気だけど……」
「ごめん、なんかずるかった。これしたら、空夜が俺のこと振りにくくなる。ごめん。」
しゅん、とした俊哉を、ちょっと可愛いと思ってしまった。
「……今、振って。」
「え?!」
「今度もう1回告白する……」
「えぇっ?!そんなに気にしないで?」
周りも俊哉の様子を見て、黙っていた方が良さそうだと察してくれている。
恐らく面倒なことにはならないだろう。
「つーか、これ聞いた俺らはどんな気持ちで明後日出かけたらいいんだ。」
元々空夜から聞いて知っていた京はともかく、昴流は苦笑している。
「……なんか、ごめん。」
「まあいいけど?俺もちょっとスカッとしたし。」
「スカッと……?」
昴流のそれは、完全に航への嫌味だ。
(航に1回は仕返ししたかったのか?)
「まだ友達だから。気にしないで、普通に遊びたい。」
「わかってるよ。まず空夜と付き合ってようがなんだろうが、俊哉自体が俺の友達だし。」
「そうだね。村田くんと空夜くんとの関係と、俺たちはまた別物だからね。」
「ありがと。でもまじでごめん。気使わせる感じになった。」
「なんかすごくいい感じ……!お似合いだね!」
また口を挟んできた美紅を背に、昴流が呆れた顔をする。
入ってくるなとでも言いたげだ。
(昴流……最近顔に出過ぎでは?)
「ね、航くん。」
ニコッ、と微笑む美紅に同意を求められ、航はあぁ、と同調とも否定ともとれない返事をした。
「お待たせしましたーっ!」
微妙になった空気を、音符でも飛んでいそうなルンルン度合いでやってきた陸玖が壊した。
「あれ、なんかあった?」
「公開告白した。」
「え、誰が?!誰に?!ねぇなんで俺がいない時にするのー!見たかったじゃん!」
何も無いと言っても納得しなさそうな陸玖に、上手くぼかして昴流が誤魔化した。
「じゃあごゆっくり!」
「……あいつ本当にうるさいな。」
「ちょっと元気すぎるね。」
「空夜くんと昴流くんが来てくれて嬉しかったんだね。」
昴流と空夜がため息をつくと、京が苦笑する。
その間に俊哉は黙々とスパゲティを取り分けていた。
「そういえば、俊哉は後夜祭来んの?」
「あぁ、行くよ。サッカー部のみんなで見ることにしてる。」
「ほーん。なんか打ち上げとかしたかったな。」
「するか?」
「でも急すぎてメンツ集まらんくない?いつもの。」
「空夜と京は?」
「今ならまだ平気かな?お母さんに連絡すれば。」
「うん、うちもお父さんに連絡すれば大丈夫だと思う。」
「なら陸玖と新誘って、あと俊哉もくればできるか。」
「……なんか、俺だけ居づらくないか。」
「宏樹誘ってもいいじゃん。」
「そうだな……声かけてみるか。」
「問題は場所をどうするかってことだけど。いつもならうちでいいけど、流石に急すぎるからなぁ。」
空夜がそう言うと、昴流が少し考え込む。
「ちょっと狭いかもしれんけど、うちは?」
「え?翔也さんたち急に行ったらびっくりするでしょ?」
「いや、絶対喜ぶ。」
昴流のその自信がどこから来ているのか分からない。
「なんなら迎えに来てもらって、そのままお泊まりしたって父さんは大喜びする。」
「木之本家はどうなってるんだ……?」
「まあ、いろいろな。お泊まりはともかく、夜も多分父さんが送ってくれるし、どう?」
「まあ、昴流がいいなら、文句はないけど……本当にいいのか?」
「大丈夫。京も俊哉も宏樹も写真とか見せてるから問題ないし、空夜たちはまあ、いいだろ。」
「そんなに急にお邪魔していいのかな……」
「心配いらん。」
昴流はそう言うとさっさとスマホで明希たちに連絡を入れてしまった。
心なしか、昴流が浮かれているようにも見える。
「本当にいいのかな?」
「な……?」
心配そうな京と俊哉に、空夜は笑う。
「昴流が家に友達呼びたいだけだと思うから、心配しないで。むしろ付き合ってあげて?」
「まあ、いいならいいんだけど……」
「昴流くんのお家って、確か空夜くんのお家と近いんだよね?」
「うん、同じ通り。」
「じゃあ、お父さんに一応その辺って伝えておこうかな。」
空夜の家に行った時に最寄りの駅は把握できている。
京はそれを父親に伝えるつもりのようだ。
「よっしゃ決まり。さすがに飯は申し訳ないから、出前取ってもらうことにした。金渡すって言っても聞かないだろうから、全額じゃなくて1000円でいいよ。参加費ってことで。」
「それだけでいいの?!」
「父さんも母さんも貰ってくれねぇもん。俺が持ってたってしゃあないし。まあとりあえず後でな。食おうぜ。」
びっくりしている京と俊哉を放置して、昴流はスパゲティを食べ始めてしまった。
(なんか本当に浮かれてる気がする……)
空夜は昴流の様子を見て、それだけ仲のいい友人ができたことを嬉しく思った。
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