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~昴流side~
「あー、腹減った。1回飯食わん?」
1時間歌ったところで昴流はマイクを置いた。
「俺もお腹すいた。空夜と京は?」
「そろそろ食べたいかも。」
「俺も。」
ここのカラオケのご飯は安い。
持ち込みもできるが、ここで頼むことにしていた。
「何頼む?」
メニュー表を京が持ってきて見せてくれる。
昴流は注文用端末を持ってきて、他の3人が頼みたいものを打ち込んでいくことにした。
昴流自身は早々にスパゲティに決めて打ち込んだ。
「「チャーハン……」」
同時にそう呟いたのは京と空夜だ。
「ぶはっ、そこ被んのかよ。」
「くくっ、2人とも食べたいの同じだったんだな。」
思わず吹き出した昴流の後で、俊哉もくすくす笑う。
「んじゃチャーハン2つにする?」
「あ、じゃあ俺高菜の方にする。京くん半分こしない?」
「ふふっ、それ俺も言おうと思ってたよ。半分こしよ。」
息ぴったりすぎる2人が面白いのか、俊哉はまたくすくす笑った。
昴流は2人分の注文を打ち込み、皆も食べるだろうと考えてポテトの大盛りを入れた。
「俺はカレーにする。」
「OK。ポテトも頼んだけどよかった?」
「いいな。カレーに入れる。」
「え?そういう?まあいいけどさ。」
「違ったか?」
「スナック的な感じのつもりだったけど、いいよ別に。好きに食べて。」
俊哉はたまに抜けているというか、少しズレているというか。
そういうところも面白くて、一緒にいて楽しいのだけれど。
「ドリンクバー行く?」
「あ、行く!」
俊哉の声にすぐ反応したのは空夜だ。
「2人の分も入れてくる。前のと同じでいいか?」
「あ、うん。サンキュ。」
「ありがとう。俺も同じでお願いします。」
2人が外に出ていくと、京と2人きり。
BGMを切っているせいで、中は少し静かだ。
隣の部屋で歌う人の声が、少し聞こえてくる。
「昴流くん、歌上手いんだね。」
「え?そうか?」
「うん。あのバンドの曲難しいのに、すごく上手だった。」
「あー、サンキュ。」
面と向かってしっかり褒められると照れる。
空夜みたいにからかってくれたほうがまだマシかもしれない。
(はっず……)
「京も歌声綺麗で俺は好きだけどな。」
「ほんと?ありがとう。」
ふわ、と微笑む京を見ると、じんわりと胸の奥が温かくなる。
(なんなんだろ、これ。)
明希と家族になりたいと思った時や、翔也の優しさに触れた時に感じたものと似ている。
けれど、少し違うといえば違う。
(好意、だよなぁ?)
空夜たち幼馴染以外で、ここまで仲良くなった人がいないからなのかもしれない。
(やっぱ、親友的なやつ?)
"親友"という関係は、昴流の密かな憧れだ。
幼馴染の皆は確かに親友だが、親同士の交友関係によるものが大きい。
親の関係ないところでできた親友は初めて。
先日も感じた京と一緒に過ごしたいという気持ちを、また抱いた。
「なぁ京。」
「ん?」
「あのさ、俺たちって、親友……ってやつかな?」
「へっ?」
突然のことだったからなのか、京はポカン、としてしまった。
「あー……なんかさ……幼馴染以外で、ここまで仲良くなった人がいないから……こういうのって、親友って言うのかなぁって。特別感あるっつーか……ははっ、何言ってんだ急にって感じだな。ごめん。」
言っていて恥ずかしくなってきて、適当に誤魔化した。
「……そうだね。」
少し間が空いて、返事がある。
「親友、だと思う。」
にっこり笑ってそう言ってくれたのは、確かに嬉しかった。
けれど、その笑顔には小さな違和感があった。
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