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~昴流side~
「……心配しかねぇが?」
そうそうに決まってしまった班行動の中身。
宏樹が紙に書いて提出しに行ってくれている間、昴流は空夜たちの方を見ながら心の声をこぼした。
「あはは……なんというか、すごい偶然だよね。」
京は苦笑して空夜を見る。
「あれ、偶然か?間宮が話しかけに言ってたし、空夜たちとがいい、みたいな希望じゃね?」
「あー、そうなのかな?」
「古森って、なぜか空夜のこと気に入ってるよな。」
昴流は美紅が転入してくるときに緋村からある話を聞いていた。
それは、諸事情により美紅は男性が苦手だというもの。
宏樹も同じ場所にいたのでその話を知っている。
もし何かあれば配慮してくれ、というお願いもされている。
(……その割に、空夜とは距離近いよなぁ。なんなんだか。)
なぜ男性が苦手なのかというところまで、昴流は知らないし、聞く気もない。それはプライバシーだ。
(身長とかか?いやでもそれなら京と空夜とかほぼ同じだし……雰囲気もなぁ?)
考えてみてもよく分からない。
(まあ、行動班は俊哉いるしな……最悪なんかあっても大丈夫かな。)
俊哉はちゃんと周りを見ているし、空夜のことが好きだとはいえ、冷静なところもある。
美紅にはっきりと自分の意見を言えたところも安心できる。
(俊哉に任せるか。つーか俺は会長の仕事もあるから、そうそう気にしてられないんだよな……)
生徒会長として、学年を仕切る役割を任せられることは多い。
今回もやはりと言うべきか、レクリエーションやら平和学習やらのセッティングと進行は生徒会役員たちに任せられている。
その上で級長たちと分担することになっている。
宏樹と2人で、激務すぎないかと先日嘆いたばかりだ。
(まあもう、考えても仕方ねぇからな……やるしかない。)
大変なこともあるけれど、楽しみなことだってある。
そう考えていて、ふと思い出した。
「あ、来月のライブどうする?」
8日に体育祭、そして18日からテストがあり忙しい来月。
その月末のライブチケットが当たった。
テストはもう終わっているし、行けるだろうということで京と2人で行く約束をしていた。
「土曜日だったよね?」
「うん。16時から入場できるけど……部活、俺はスケートリンクの都合で午前中だけなんだわ。」
「俺は14時までだなぁ。」
「17時からライブ開始だから……45分にはついてたいよな?」
「うん。でもその時間なら余裕で着けそうだね。」
「だなー。駅で待ち合わせる?」
「そうだね。ライブ会場の最寄り駅で。」
「おっけー。当日LINEしながら時間は決めるかー。」
「うん。来月かなりバタバタしちゃいそうだから、先にある程度決めときたいね。」
「そうだな。グッズは通販にするか。」
「それがいいかな。事前通販もあったもんね。」
「うん。てか2学期さ、行事詰め込みすぎじゃね?」
「確かに。」
文化祭、体育祭、定期テスト、そして修学旅行、12月にも定期テスト。
「生徒会はすごく大変だよね。」
「まあなぁ……」
「しかも昴流くんはこの後シーズン入るもんね。」
フィギアスケートのシーズンはまさにこれから。
冬から春にかけては大会もある。
「そうだな。でも生徒会長は来年の春で引退かもしれんし。」
「立候補はするの?」
「んー、新が立候補するならするかな。」
生徒会役員選挙は、3月と7月にある。
7月の会長選挙は昴流が他候補に票差をつけて圧勝した。
他の役員も変化はなかった。
3月の選挙は、今2年生で参加しているメンバーが立候補するのであれば、するつもりだ。
どのみち7月の選挙には立候補することはない。ここで代替わりである。
「笹倉くんか。幼馴染なんだよね。」
「まーそう。それで楽ってのもあるけど、実際、新はめちゃくちゃ仕事できるから。新以外が副会長になるんなら、きつくなりそうだし、俺ももういいかなって感じ。」
「そうなんだ。」
(つーか、俺らの代の役員、みんな仕事できるんだよなぁ。)
後輩役員たちも丁寧で早い仕事ができる。
生徒たちからの要望もそれなりには叶えてきているし、評判は悪くない。
(……副校長にだけ評判悪いか。)
その評判の悪さは主に昴流の態度のせいだけれど。
(最近は割と真面目なはずだけど。)
2年生になってクラスメイトに恵まれ、家族との関係性も改善されたし、緋村にも迷惑なので入学式以降はきちんとしている。
「……あ、体育祭あるし髪の毛変えようかな。」
「色?」
「うん。」
「次は何にするの?」
くすくす笑う京も、空夜たちが見せた写真により、昴流がどんな髪色をしてきたか知っている。
「青かな。俺らのクラス青組だし。」
たまたま翔也の髪色の順番と被るので、体育祭の前に変えようとしている。
「ふふっ、派手すぎるぞ!って怒られそうだね。」
副校長の真似をした京の言い方は思ったよりクオリティが高くて、昴流は思わず吹き出した。
「あれっ?そんなに面白かった?」
「ジジイに似てた。」
「あははっ、そうかな?っていうか、あんまりその呼び方しちゃダメだよ。一応生徒会長なんだから。」
「いいんだよー、ジジイは俺のこと目の敵にしてるから。」
「副校長先生、今の生徒会のこと嫌いだよね?すごく厳しいもん。」
「あー……なんか割と生徒の要望通すからだろうな。」
「なるほど、そういうことか。」
「よーし!全班分もらったから全員席座れ!」
最後の班のプリントが提出し終わり、緋村から声がかかったので、京と昴流も席に戻った。
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