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~空夜side~
10月22日
「じゃあ行ってくるね。」
「うん、いってらっしゃい。」
「気を付けてね。お土産待ってる!」
「いってらっしゃい!」
空夜、陸玖、昴の3人で恋たちを見送る。
春陽は昨晩遅くまで仕事をしていたためかまだ寝ている。
「お金足りなかったら連絡して?春陽の口座に振り込むようにするから。」
「はーい。」
「ほかにもなんかあったらすぐに連絡しろよ。」
「大丈夫だって!!ほら行ってきてー!」
心配そうな琉と恋を昴が無理やり追い出し、ドアを閉める。
「さて、それでは第二作戦開始しますか。」
陸玖がそう言い、昴と空夜が頷く。
「まずは普通に朝ごはん食べるけど、各々のタイミングで外出して、俺が夏紀さんにLINEする。」
「俺と空夜兄さんが外に出たら、陸玖兄さんに連絡すればいいんだよね。」
「うん。まあ春兄はこういうところはすっごい鈍感だし、ばれないとは思うけど慎重にいこう。」
「じゃあ俺は昨日の夜に誘いが来たことにして、お兄が起きたらすぐに言おうかな。」
「あ、それいい。昴はお昼前くらいが妥当かな。で、俺はマジで夕方からデートの約束があるって話はしてるから、途中で春兄に電話かける。」
「完璧!あとはこの一晩で夏紀さんがちゃんと告白してくれたらいいんだけど。」
「……あの人変なところでヘタレだよなぁ。」
心配する陸玖だが、自分からこちらに提案してきた時点でそれなりに気持ちが固まっているはずである。
覚悟を決めて、というところだろう。
「お酒とか用意しておけばよかった?」
「いやいや、俺ら未成年だし買えないが?」
「お兄に買わせるわけにもいかないし、それは夏紀さんの役目だよ。お酒は好みもあるだろうし。」
パンをトースターにセットして目玉焼きを焼く。
陸玖は牛乳をパックから直飲みしている。
「陸玖兄さんパックから直に飲まないで。」
「もう一本あるよ。残り少なかったから飲んじゃった。昴はそっち飲みなよ。」
「ちょっと、二人とも準備手伝ってよ。」
「「はーい。」」
なんだかんだと言いながら朝食を作り終えた頃、2階で物音がした。
「お兄起きたかな。」
「ぽいね。では、打ち合わせ通りで!」
空夜と昂は頷き、何事も無かったかのようにテーブルに朝食を運ぶ。
「おはよー。」
「お兄おはよう。」
「春兄おはよ!」
「おはようー!」
「ふぁ……母さんたち行った?」
「うん、行ったよ。お兄はコーヒー飲む?」
「うん、飲む。」
「そうだ、お兄。俺、今日新とお泊まりすることになった。」
「そうなの?」
コーヒーを入れながら、何気なく切り出す。
「うん。昨日誘われたんだ。勉強も一緒にしたいし。」
「うち使う?」
「ううん、新が来てって言ってたから行くんだ。」
「じゃあお土産持ってく?」
「うん、お母さんからお金もらってるよ。」
これは嘘。
傑には事情を話してあるので、困ったら来いと言われていた。お金もお土産も受け取ってくれない。
代わりにといってはなんだが、お菓子くらいは持っていこうと用意してある。
「そ、ならいいけど。気をつけてね。」
「うん。」
「送っていく?」
「いや、大丈夫だよ。」
朝食は4人で済ませ、空夜は一足先に家を出る。
新と駅前で待ち合わせ、ご飯を食べたあとで笹倉家に。
ちょうど家に着いたあたりで、昂からメッセージが入っていた。
どうやら無事に家から出たらしい。
陸玖は予定が元々あったし、これで問題ないだろう。
「上手くいきそう?」
「うん、完璧。」
「ところで空夜。」
「うん?」
「俺もお前に、ちょーっと聞きたいことあるんだけど。」
「へ?」
新に何か聞かれるようなことがあっただろうかと考えてみるも、特に思いつかない。
「結局、どうなってんの?」
「え?何が?」
「航と俊哉。」
すっかり忘れていたが、新は航とのことを聞いてきたこともあるし、2人とも仲がいいんだった。
俊哉のことは公開告白の話の後に詳しく話したし、新としては空夜の気持ちが気になるところなのだろう。
「どっちも気になってんの?それともどっちも脈ナシ?」
「うーん……どっちも気になってる、が正しいかな。」
「ふーん……話してもいいと思う所まで教えてくんね?せっかくゆっくり話す機会だし。」
断る理由も特にないので、空夜は頷いた。
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