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ルーティーン
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〔 雪 side 〕
僕の朝は 、 隣で眠るイケメンを起こす事から始まる 。
この家に来た時から 、 眠る時は二人で同じベッドに入る事が決まりだった 。
僕を抱き枕にして眠るのが好きなのと 、 単純に僕が暖かくて湯たんぽ代わりにしてるってだけ 。
「 雅(みやび)さん 、 朝ですよ 。 起きてくださ〜い 、 」
上半身裸で眠る国宝級のイケメンは 、 僕の大切な人 。
少し癖のある黒髪と切れ長の瞳 、 色白な肌と綺麗な形の唇 。 そして何より 、 モデルの様なスラリとした身体 。 でも細いだけじゃない 。 腕やお腹にはしっかりと筋肉が付いていて 、 同じ男としてはすごく羨ましい 。
( 今日もムカつくぐらい綺麗な顔 。 )
目元に掛かった髪を指先で退けると 、 雅さんの瞼が僅かに震える 。 あ 、 起きた 。
「 …… ん" 、 なに 、 もう朝? 」
僕の指をウザそうに払い 、 掠れた声で問いかけた 。
寝起きの雅さんは 、 目にも耳にも悪い 。
なんか変なフェロモン出てるし 、 裸だから余計に意識してしまう 。 何回も見たはずなのに 。
のそのそと起き上がる彼を横目にカーテンを開ける 。
すごくいい天気だ 。
「 おはようございます 、 今日はいい天気ですよ〜? 」
雲ひとつない晴天を窓越しに見上げ 、 大きな深呼吸をする 。 うん 、 眠気も吹き飛んだ 。
脳が覚めていない雅さんを放置し 、 重たい足を引きずってキッチンに向かう 。
時刻は朝の六時 、 今から朝ご飯を作れば食べてくれる 。
雅さんはとにかく面倒な事が嫌い 。
そして 、 自分にあまり興味や関心がない 。
僕が朝ご飯やお昼ご飯を作らないと 、 夕食まで何も食べなかったりする 。 空腹というものが無いのか 、 と聞けばそれは違うらしい 。
食べるのが面倒だと 。
「 雅さ〜ん 、 朝ご飯は何食べます? 」
こんな生活をしていては倒れてしまう 。
そう思って三食分のご飯を作るのだが 、 必ず毎日一食は雅さんのリクエストを聞いているのだ 。
少しでも食に 、 自分に関心を持って貰うため 。
「 俺はお前が食べたい 、 喰わせて 。 」
普段はフラフラとして何を考えているのか分からないのに 、 僕が名前を呼べば必ず応えてくれる 。
不思議な人 。
「 バカなこと言ってないで 、 早く決めて下さいね?夜ご飯は僕がハンバーグ食べたいんで 、 それ以外で 。 」
ごそごそと僕の服の中に手を突っ込みはじめた雅さんに釘を刺し 、 冷蔵庫の中を覗いた 。
野菜は沢山ある 、 卵もある 、 魚がないな 。
今日のお昼ご飯と夜ご飯を考えながらちゃちゃっと冷蔵庫を整理整頓 。 こういう所も気にしないズボラな人だから 、 僕が掃除しなければ放置する 。
「 じゃあ 、 目玉焼きとベーコン 。 あと食パン 。 」
「 またそれですか?ほんとに好きですね 、 目玉焼き 。 」
昨日とほぼ同じ朝食 。
違うのは食パンか白米か 、 って事だけだ 。
でもすごく真剣に言うものだから 、 昨日より美味しく作ってやろうと気合いが入ってしまう 。
好きな人の言葉って 、 ほんとに凄いね 。
「 雪(ゆき)が作る目玉焼き 、 半熟で美味いから 。 それと 、 愛情がたっぷり入ってて幸せになる 。 」
危ない 、 大切に掌の中に収めた卵が落ちるところだった 。 急に恥ずかしいこと言わないで欲しい 、 心臓に悪いんだけど 。
目玉焼きなんて誰が作っても一緒なのに 。
なんて思いながら 、 やっぱり愛情を込めてしまう 。
小さくて丸いフライパンにベーコンと卵を落とし 、 中火で焼きながらトースターに食パンをセット 。
僕の手が空いたと同時に 、 雅さんが邪魔をしに来る 。
これは彼のルーティーン 。
火傷したりしない様に 、 僕のことをちゃんと考えてくれてる 。 そんな優しさを知っているから 、 僕も雅さんに向き合って束の間のイチャイチャを堪能するのだ 。
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