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〔 雪 side 〕
朝食を取った後 、 昨日と同じように二人並んでソファに腰掛けた 。 左隣の雅さんは 、 何やら難しい顔をしている 。
「 雪くん 、 連絡先を交換しよう 。 何かあれば掛けてくれないか? 」
そう言ってスマホを取り出した彼に頷き 、 僕もスマホを取り出して電話番号を教えてもらった 。
電話帳には 、 両親と雅さんの名前 。
嬉しくて 、 自然と頬は緩んでいった 。
「 あの 、 寂しくなったら電話しても良いですか? 」
その電話番号を見つめながら恐る恐る尋ねると 、 雅さんはにっこり笑って 「 いつでもいいよ 」 と言った 。
そんなこと言われたら 、 毎日でも掛けたくなる 。
あまり甘やかすのも得策じゃない 。
でも 、 その甘やかしが心地好くて仕方ない 。
この人の恋人になれたら 、 どれだけ幸せだろう 。
いやいや彼は男性で僕も男だ 、 叶うわけがない 。
告白したって 、 振られて終わる 。 才能も無ければ外見も中身も冴えない 、 平凡以下の人間なんだから 。
「 雪くんは 、 好きな人とか恋人はいる? 」
もしかして 、 雅さんって心が読めるの?
ベストタイミングで問いかける雅さんに 、 首を振る 。
恋人なんて僕には恐れ多い 。
それ以前の話で 、 僕を好きになる人なんて居ないでしょ 。 僕みたいな冴えない人間より 、 それこそ雅さんみたいな人と付き合った方が良いに決まってる 。
「 そう 、 良かった 。 」
「 … 良かった? 」
何が良かったのだろう 。
嗚呼 、 僕みたいな人と付き合う人が可哀想だもんね 。 たしかに被害者が増えなくていいかもしれない 。
僕が首を傾げると 、 「 何でもないよ 」 と笑ったのでそれ以上は何も聞かなかった 。
そして 、 二つ約束を決めた 。
「 一つは 、 週末になったらこうして会うこと 。 」
「 なんで週末なんですか? 」
「 土日は仕事も休みだし 、 ゆっくり出来るからね 。 」
「 二つ目は 、 何かあれば俺に相談すること 。 」
「 迷惑じゃないですか? 」
「 俺が聞きたくてそうするんだ 、 いつでもおいで 。 」
その優しい言葉に甘えて 、 金曜日から日曜日までは雅さんの家でお泊まりすることになった 。
どんどん惹かれていく 。
僕のような人間が好きになっちゃいけないんだろうけど 、 それでも好きになってしまう 。 知りたいと思う 。
こんな気持ち初めてで 、 どうやって消化していいのか分からない 。
僕が告白して付き合って 、 同棲するまでは早かった 。
出逢ってから一ヶ月で同棲なんて 、 普通じゃないんだろうけど 。
それでも 、 雅さんが好きと言ってくれて嬉しかったからそんな事はどうでも良くなった 。
同棲を始めてから 、 僕は大学を退学した 。 両親にも話をして 、 もう二度とこの家には帰りませんと 。
大学のお金は父親が出してくれていたけど 、 そんなものはどうでも良いらしい 。 とにかく僕が家にいなければ 、 後は好きにしろと言われた 。
ろくでもない親だな 、 と初めて思った 。
それからは雅さんの家で専業主夫として 、 家事を担当している 。
足枷とGPSは 、 雅さんが僕を繋ぎ止めておきたいからと提案してきた 。 嫌だとも思わなかったし 、 雅さんが家に居る時は外してるから不自由だとも思わなかった 。
これが 、 雅さんとの出逢い 。
あの時に出逢えたのは 、 本当に奇跡だったんだ 。
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