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〔 雪 side 〕
ついに雅さんが北海道へ言ってしまった 。
いつもより少し早く起きたけど既に出張してしまったみたいで 、 昨晩用意したキャリーケースも雅さんの姿も無かった 。
「 … 雅さん 。 」
いつもみたいに夜になると帰って来るわけじゃない 。
だからこそ不安で 、 苦しい 。
ねぇ雅さん 、 どうしてメールもくれないの?
どうして別々に寝たりしたの?
どうして 、 あっさり出張を受け入れたりしたの?
どうして 、 どうして 。
大きく膨らんでいく不安に 、 目眩がした 。
雅さんに出逢ってからこんなこと無かったのに 。
雅さんが居なくなっただけでこんな身体になるなら 、 駄々こねて困らせれば良かった 。
でも 、 雅さんだって分かってたはず 。
僕が不安で離れたくないんだなって事ぐらい 。
「 どうして … 」
気付かないフリしたの?
ソファに座ったまま 、 夜を迎えた 。
相変わらずメールは届かない 。
もう北海道に着いてホテルで休んでるはずなのに 。
僕のどこがダメだったの?
言ってくれれば直したし 、 謝れたのに 。
気持ち悪い 。
考えれば考えるほど悪い方に気持ちが傾いていく 。
食欲もないし 、 眠れる気もしない 。
だからと言って起きていても考えることは同じ 。
外に 、 出てみようかな 。
今は雅さんも居ないし 、 足枷だって外れてる 。
気分転換するのも大事だって 、 よく言うよね 。
外に出ると少し肌寒かった 。
車が走る音と 、 風に揺れて葉が擦れる音 。
そして 、 トクトクと鳴る心臓の音 。
心地良い 。
「 お散歩 、 してみよう 。 」
いつも雅さんと歩くスーパーまでの道のりを 、 一人でゆっくりと歩いた 。
好きな人が隣に居ないだけで 、 こんなにも退屈なんだ 。
短いと思っていた道のりは 、 意外と長かった 。
少し離れた公園のベンチに座り 、 遠くを見つめた 。
ズボンのポケットに入れた携帯が震える 。
僕の番号を知ってる人は 、 一人しかいない 。
雅さんだ!
ずっと待ってた 、 愛しい人の声を聞ける 。
「 も 、 もしもし … 雅さ 、 」
『 今どこ? 』
…… 何で 、 怒ってるの?
ずっと連絡が来るの待ってたのに 。
「 … 北海道 、 着いたんですか? 」
『 答えろよ 。 今どこに居るのかって聞いてんだけど 。 』
「 …… 家 、 です 。 」
どうしよう 。
今までにないぐらい 、 怒ってる 。
勝手に外に出たから?連絡 、 しなかったから?
『 家に居るのに車が走る音がするんだ? 』
「 ぁ …… 、 」
『 雪 、 約束も守れない奴は嫌いだよ 。 』
やだ 、 待って 、 お願い 。
「 雅さん 、 違うの!ごめんなさい 、 話を 、 」
『 黙れ 、 今すぐ荷物まとめて家出ろ 。 』
「 待って 、 お願い話を聞いて! 」
『 じゃあな 。 』
プツッと切れた電話 。
いくら電話に耳を当てても 、 虚しい電気音が流れるだけだった 。
ちゃんと 、 メールしたよ?
『 どこにいるの 』『 もう着いた? 』『 少し 、 お散歩します 』
見てくれなかったのは 、 雅さんなのに 。
心が 、 崩れていく音がした 。
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