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〔 雪 side 〕
原田さんがご飯を作れないと言うので 、 外食する事になった 。
ただでさえお金が無くて家に住まわせてもらうのに 、 と猛反対したけど話は聞いてもらえず 。 凍え死にそうだった子にご飯を作らせる方が心配だと言われて 、 渋々だが了承した 。
太郎くんは俺の膝の上でスヤスヤ眠ってる 。
可愛いな 、 自分の子供ってこんな感じなのかな 。
「 雪くん 、 チャイム鳴ったら判子もって行ってくれる?大学で使う教材 、 宅急便のお兄さんが持ってくるから 。 」
「 はい 、 分かりました 。 」
ご飯の時間にはまだ早いからとパソコンに向き合う原田さんは 、 大学での課題を終わらせてるらしい 。
僕の掌に判子を置いて 、 また課題に取り組む 。
パソコンの使い方すら分からない僕にはサッパリだけど 、 ちょっとカッコイイ 。
たまに椿さんが家に仕事を持って帰る時は 、 メガネを掛けてパソコンをカチャカチャやってる気がする 。
すごく素敵だな 、 って見つめちゃうんだよね 。
ピンポーン 、 ピンポーン 、 ピンポーン
「 あ 、 宅急便かな?受け取りお願いね 、 雪くん 。 」
原田さんの言葉に頷いて 、 判子を握り締めたまま玄関に急いだ 。 あんなにインターホン鳴らす必要あるのかな 、 って思っちゃった 。
もしかして 、 宅急便と原田さんはお友達?
玄関のカギをカチャッと開けると 、 僕がドアノブを握るより先に玄関が開いた 。
「 雪 、 」
聞き慣れた甘い声と 、 久しぶりの体温 。
どうしてここに居るのと開いた唇からは 、 何も音が出なかった 。
「 早かったですね 、 雅さん 。 イチャイチャするなら中でやってくれます? 」
「 雅さん … 、 本物 、 なの? 」
「 ごめんね 、 雪くん 。 さっき電話に出てやり取りしたんだ 。 」
後ろから聞こえる原田さんの声に 、 抱き締められたまま応える 。
抱き締めてくる力が強くて 、 少し苦しい 。
「 ごめん 、 雪 。 お前 、 死にそうだったんだろ?ごめん 、 ごめんな 。 」
泣きそうな声で何度も謝る雅さんは 、 僕の頭やお尻を撫で回す 。 反省はしてても変態な所は変わらないのか 。
何だか怒る気持ちも悲しい気持ちも消えてしまって 、 大丈夫だよと雅さんの首にキスをした 。
こんなことしたら 、 調子に乗るかもだけど 。
無事に仲直りした僕達は 、 原田さんへの感謝とお世話になりましたの気持ちを込めてご飯を食べに行くことにした 。
雅さんが奢るらしい 。
原田さんは笑って 、 僕に良かったねと囁いた 。
太郎くんも 、 ミャーミャーと鳴く 。
膝の上で頭を撫でて別れを惜しんだ 。
こんなに小さい猫ちゃんにお世話になるなんて 、 びっくり 。 今度会う時は 、 美味しいご飯持ってこなきゃね 。
「 焼肉食べたいな 、 雅さん 。 」
「 は?そこら辺のファミレスで良いだろ 。 」
「 雪くんの命の恩人なんだけどなぁ〜 … 。 」
「 …… はいはい 。 」
いつの間にか仲良くなってるし 。
久しぶりに再会したのに 、 雅さんは原田さんにばっかり話しかけちゃって 。 やっぱり嫌われたのかな 。
はぁ 、 と深いため息をついた 。
言うこと聞かなかったし嘘ついたのは僕だけど 、 元はと言えば雅さんがあっさり出張に行っちゃうからじゃん 。 一緒に寝てもくれなかったし 。
それなのに僕が悪いみたいに出て行けってさ 、 酷くない?
原田さんと仲良くしちゃって 、 僕のこと見向きもしない 。
考えれば考えるほど 、 モヤモヤイライラ 。
「 雪くん 、 焼肉だって 。 」
「 …… うん 。 」
「 大丈夫?湯冷めしちゃったかな 、 今日は辞めとこうか 。 」
「 大丈夫 、 行きます 。 」
「 無理しないでね 、 」
原田さんに迷惑かける僕にも 、 イライラ 。
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