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〔 雪 side 〕
僕を見つけたのは二年前 、 雅さんの家から近いコンビニだったらしい 。
僕はその時のことを覚えていなくて 、 どうしてそのコンビニを使ったのかも覚えていない 。
雅さんみたいなイケメンと出会ったら 、 忘れないと思うんだけど 。
「 雪は俺の顔を見ていないと思う 。 俺が一方的に見ただけで 、 対面した訳じゃないから 。 」
そりゃ覚えてないわけだ 。
こんな僕のどこに惹かれたんだろう 。 容姿も家柄もいいわけじゃないし 、 才能があるわけでもない 。 性格だって良いとはいえないのに 。
雅さんのいい所ならいくらでも見つかる 。
俯いた僕の手をさらに強く握って 、 雅さんは唇を開いた 。
「 俺は 、 雪と一緒に住むようになってから変わったよ 。 健康でいて欲しくて煙草も辞めた 、 ダラダラ仕事することも辞めた 、 遊んできた関係もバッサリ切った 。 全部 、 嫌われないようにするため 。 雪を傷付けないために 。 」
知ってたよ 。
夜中に隠れて煙草吸ってたし 、 携帯だって着信履歴が見えちゃってたもん 。
残業する量の仕事は家に持って帰ってきて 、 僕がいる前でやってくれてるもんね 。 知ってるよ 。
「 いつも感謝してる 。 だからこそ 、 隠したくなかった 。 俺の汚いところも 、 知って欲しかった 。 」
「 うん 、 」
「 こんな俺を 、 受け入れて欲しい 。 」
「 どんな雅さんでも 、 受け入れます 。 」
「 一緒に 、 いて欲しい 。 」
「 一緒にいます 。 雅さんが飽きるまで 、 隣にいさせてください 。 」
お願いされるまでもなく 、 一緒にいて欲しい 。
雅さんがいない世界で生きてくなんて 、 僕にはできないから 。
僕の言葉を聞いて 、 雅さんはポケットをまさぐる 。 そこから 、 小さな箱を取り出した 。
「 これは 、 俺のけじめだ 。 これからも雪と一緒にいるために 、 雪だけを愛するために 。 受け取ってほしい 。 」
「 これ … 。 」
小さな箱に入った 、 キラキラと光る二つのリング 。
その一つを取って僕の左薬指に通した 。 シルバーのリングに控えめに添えられた宝石が 、 ライトに反射して綺麗に光った 。
何ひとつとしてお揃いを持たない僕たち 。
お揃いのネックレスやピアス 、 食器や衣服が欲しいと思っていても口に出すことはなかった 。
欲しいとは思っていても 、 面倒なやつだと思われたくないからと我慢していたのだ 。
だからこそ 、 嬉しかった 。
一人でお店に入って 、 僕のために選んでくれたであろうリング 。
雅さんは自分がけじめを付けるためだと言うけれど 、 理由は何であれ僕のためにもなるんだ 。
「 もう 、 かっこよすぎるんだから … 雅さん 、 ありがとうございます 。 」
「 …… 泣くなよ 、 バカ 。 」
なんていいながら雅さんだって涙ぐんでるじゃん 。
ねぇ雅さん 、 どんな顔して買いに行ったの?
恥ずかしがり屋でプライドが高いあなたの事だから 、 顔には出さないけど緊張してたでしょ?
すごく幸せだな 。
生きててよかった 、 ほんとにそう思える 。
「 雅さん 、 プロポーズは夜景の見えるホテルがいいです 。 」
「 任せろ 。 スイートルーム取ってやるから 。 」
「 僕 、 雅さんと出会えてほんとによかった 。 好きで好きでたまらない 。 」
「 んなの毎日思ってるわ 。 」
顔を見合って笑い合った 。
いつもみたいに好きって言い合って 、 いつもみたいに仲良く過ごして 。
いつまでも変わらない二人で居られたら 、 もっと幸せ 。
「 愛してるよ 、 雪 。 」
薬指に光るリングを指で撫でながら 、 溺れるほどに深いキスを何度もした 。
愛を伝え合うように 。
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