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〔 雪 side 〕
僕の指で光る指輪に気付いた松田さんは 、 表情を和らげてグラスに氷を入れていく 。
「 雅先輩 、 雪さんの好みが分からないからって俺に相談してきたんですよ 。 恋人にあげるんだって張り切って 、 仕事もせずにパソコンで調べてました 。 」
「 それ 、 俺にも聞いてきた〜!雪さんと買いに行けばいいのに 、 緊張してるんだか何だか知らないけど 。 笑っちゃったな〜 。 」
松田さんの言葉に爆笑しながら三浦さんが答える 。
会社の人に聞いちゃってるの?と恥ずかしいような 、 嬉しいような 。
会社の中の数人にしか言ってないみたいだけど 、 雅さんの雰囲気や表情で皆に知られてるみたい 。
嬉しくて 、 ニヤニヤしてしまった 。
すごく愛されてるって自覚すると 、 恥ずかしいもんだ 。
「 雪 。 」
「 はぁい? 」
山崎さんと話してた雅さんは 、 長い足でこちらに来ると人目があるにも関わらず僕を後ろから抱きしめる 。
三浦さんがヒュ〜 、 と口笛を吹いた 。
突然のことに固まってしまったけど 、 いつもの雅さんで少し安心 。 可愛いですね〜って頭を撫でると 、 いつものようにおかずをつまんで味見 。
うん 、 美味しいって笑ってくれるこの瞬間が 、 すごく好き 。
松田くんはピュアっ子なのか 、 顔を赤く染めてそっほを向いてしまったけれど 。
「 またつまみ食いしましたね? 」
「 違ぇよ 、 ただの味見 。 雪も味見する? 」
「 雅さんみたいにやんちゃじゃないのでしません 。 はい 、 ご飯にしますよ〜 。 」
「 …… こんにゃろ 。 」
拗ねたように唇を尖らせた雅さんは 、 ドスドスと重たい足音を響かせてダイニングテーブルに向かう 。
その後ろ姿を三浦さんが爆笑しながら見送り 、 松田さんも苦笑して眺めている 。 多分 、 会社でこんな姿を見せないんだろうな 。 めちゃくちゃ嬉しい 。
僕の隣に雅さん 、 誕生席に三浦さん 。 雅さんの対面に山崎さん 、 僕の対面に松田さん 。
いつもより張り切って作ったご飯を前に 、 みんなで手を合わせていただきますをした 。 雅さんは僕の隣にピッタリくっ付いて 、 おかずを取り分けてくれてる 。
その間にビールをグラスに注いでいった 。 松田さんは帰りの車があるからと 、 僕と一緒にお高めのオレンジジュースを飲むことに 。
初めての大人数での食事にドキドキするけど 、 みんな優しい人達で安心 。
「 雅先輩ってぇ 、 結婚願望とかあるんですかぁ? 」
大きな口でハンバーグを頬張る三浦くんにティッシュを渡し 、 山崎さんの言葉に耳を傾けた 。
雅さんはビールを一口呑んで 、 一度頷く 。
「 日本ではできねぇから 、 海外への移住も考えてる 。 」
「 え 、 初耳なんですけど … 。 」
「 そりゃ初めて言ったからな 。 」
そんな大事なこと 、 この場でサラッと言っちゃうの?
でも嫌な気はしなくて 、 寧ろこの場で言ってくれたからこそ安心してしまう 。
アピールしてるみたい 。
「 お子さんはどうするんですかぁ?やっぱり 、 親御さんって孫の顔が見たいって思うじゃないですかぁ 。 」
子どもなんて 、 考えたことなかったな 。
僕には出来ないことだし 、 諦めもあるのかもしれないけど 。
「 別に 。 雪が欲しいってなれば 、 養子をもらうことだって出来るし 。 それに 、 夫婦の時間が減るのは耐えられん 。 」
「 雅先輩 、 めちゃくちゃ雪さんのこと好きじゃないっすか! 」
「 当たり前だろ 。 いいから食えよ 、 三浦 。 」
茶化しはじめた三浦さんのお皿にどんどんおかずを積み上げていく雅さん 。
ヒーヒー言いながら食べていく姿に 、 こんなに食べるのに身長が伸びない理由を真剣に考えてしまった 。 遺伝とか 、 そんな感じかもしれないしあまり考えないでおこう 。
僕も背が高い方じゃないからね 。
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