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〔 雪 side 〕
ご飯を食べ終わった後はみんなのために三浦さんと一緒におつまみを作って 、 仕事場での雅さんを教えてもらった 。
プライドが高くて仕事ができて 、 でも後輩がミスするとそれを笑って受け流して一緒に残業してくれる 。 アメとムチがしっかりしてて 、 頼れる上司で 。 でも女性にも男性にもモテて 、 指輪をしてきた日は女性数名が失神したとか 。
家での雅さんでは考えられない数々のエピソード 。
どれも新鮮な話で 、 次から次へと出てくる雅さんの一面にクスクスと笑いが止まらなかった 。
「 雪さんは 、 先輩のどんな所が好きなんすか? 」
左隣でプチトマトを切る三浦さんは 、 子供のように幼い笑顔を咲かせて僕を見上げた 。
同性なのに 、 すごく可愛くて思わずニッコリしてしまう 。 身長差はそこまでないのに 、 不思議な感覚だ 。
「 ん〜 、 ああ見えて意外と甘えん坊なんです 。 家では僕にベッタリで 、 子供みたいな一面があって 。 すごく可愛いんですよ 。 」
「 え!!!それは可愛いっすね〜 、 ギャップ萌えってやつっすか? 」
「 そんな感じです 。 あと 、 煮物が好きです 。 仕事で疲れた日は煮物を作ってあげると 、 吐くまで食べ続けるんです 。 」
「 もう子供じゃないっすか〜!いやぁ 、 こんな可愛い恋人がいて先輩は幸せ者だなぁ〜 。 」
大袈裟に大きく首を振って 、 細かく刻んだアボガドとトマト 、 サニーレタスをドレッシングで和えていく三浦さん 。 その横顔はとても嬉しそう 。
いい後輩を持ったなぁ 、 雅さん 。
サラダを作ってくれている間にチラッと後ろを振り返ると 、 雅さんの横にピッタリくっついた山崎さんが赤い顔して笑っていた 。
やだな 、 あんなにくっ付いて 。
でもその場を白けさせるのも嫌で 、 ぐっと飲み込んだ 。
「 サラダできましたよ〜!あ 、 これは俺が切って和えたんす! 」
楽しそうな三浦さんの声と 、 褒め言葉を紡ぐ松田さんの弾んだ声 。 それに乗る山崎さんの甘い声と 、 お酒が回って気分が乗った雅さん 。
その輪の中に入るのは気が引けて 、 キッチンに戻って料理を作り始めた 。
気持ち悪い 。
全部 、 全部 、 全部 。
ベタベタされていい気分になったの?
やっぱり 、 女の人が良かった?
もう 、 僕は必要ない?
楽しそうな声が聞こえる度 、 堪えていたものが出そうになる 。 苦しくて 、 気持ち悪い 。
「 あのぉ〜 。 」
フライパンを熱っしていると 、 後ろから声が掛かった 。 甘い猫なで声 。 山崎さんだ 。
「 …… はい 。 」
深呼吸してから振り返り 、 自分ができる最大限の笑顔を見せた 。 上手く笑えていないかもしれないけど 。
頬を赤くした山崎さんは雅さんを指さして 、 テカテカと光る唇を開く 。
「 雅さんがぁ 、 酔ったみたいでぇ 。 ベッドに運んでも大丈夫ですかぁ? 」
自分がやって当然みたいな顔 。
ここに恋人がいるのに 、 そんなこと聞かないでも分かるでしょ 。
とは言えずに 、 首を振った 。
「 僕が運ぶので 、 大丈夫です 。 お酒は足りてますか? 」
山崎さんが雅さんを好きだってこと 、 気付いていた 。 最初から隠そうともしないから 。
だけど譲れない 。
たとえ可愛い女の人でも 、 僕から奪わないでほしい 。
でも 、 山崎さんにはそんなこと関係ないんだと思う 。
だって 、 フワフワしていた笑顔なんて今はどこにも無いんだから 。
冷えた表情 、 鋭い視線 。
「 は?大人しく下がってなさいよ 、 ホモ野郎 。 」
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