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〔 雪 side 〕
僕は気が長い方だと思う 。
でも 、 そんな僕でも 、 山崎さんの一言はイラッとした 。 同性を好きになることに 、 どうしてそこまで言われなくちゃならないんだろう 。
鋭い視線を押し返すように 、 真っ直ぐ見つめる 。
山崎さんの薄茶色の瞳がゆらりと揺れた 。
「 あなたに関係ありません 。 僕は雅さんが好きで 、 雅さんは僕が好きなんです 。 あなたじゃない 。 」
僕の一言に苛立った山崎さんは 、 肩を押し退けて三人の元へ戻ろうと一歩踏み出した 。
しかし僕の腕が先程まで湯を沸かしていた鍋にぶつかり 、 熱いお湯とともに地面に落ちていく 。
咄嗟に山崎さんの肩を押して庇った 。 考えるよりも先に 、 身体が動いていた 。
「 っ! 」
熱湯が左半身に降り注ぐ 。
声も出ないほどの痛みに 、 蹲るしかなかった 。
「 雪さん?どうしたんすか … 、 」
「 おい!!! 」
大きな物音を立てたことに心配して来てくれた三浦さんが僕に駆け寄るより前に 、 雅さんの怒り声が響いた 。
僕が押し返して座り込んだ山崎さんの隣にしゃがんで 、 僕には目もくれず心配そうに声をかける 。
その姿を見た瞬間 、 僕の中で何かが急激に冷めていった 。
火傷によって赤く腫れた手を胸に抱いて 、 痛みで動かない左足を引きずりながらお風呂場へと向かう 。
後ろから三浦さんと松田さんの声がしたけど 、 止まらなかった 。
冷たい床に座り込んで 、 冷たいシャワーを頭から浴びる 。
「 ………… 傷 、 残るかな 。 」
綺麗な身体でいたかった 。
必ず 、 雅さんが触ってくれるから 。
でもきっと 、 意味ないんじゃないかな 。
いつでも僕を優先してくれた雅さんは居ない 。
あんなに大切にしてくれた雅さんじゃない 。
だったら 、 傷が残っても仕方ないよね 。
じくじく痛む手を擦りながら 、 立ち上がる 。
慎重に服を脱いで 、 水分を拭き取ってパジャマに着替えた 。
「 怪我はないな? 」
「 はい … でも 、 雪さんに押された肩が痛くてぇ 。 」
「 冷やすか 。 少し待ってろ 、 」
遠くからでも聞こえてくる会話 。
酔うまでの雅さん 、 いつも通りだったのに 。
足を引きずりながらキッチンに戻り 、 冷たくなった水をタオルで拭いていく 。
拭いて 、 絞って 、 また拭いて 。
「 雪さん 、 大丈夫っすか?火傷とか … 。 」
「 大丈夫 。 」
「 でも … 赤くなってるし 、 」
「 大丈夫だから 。 」
今は 、 放っておいてよ 。
気を遣わないで 。 惨めで 、 泣きたくなる 。
八つ当たりも 、 情けないけど 。
「 雪さん 、 手当しましょう 。 」
「 大丈夫だって 。 」
「 ダメですよ 、 痕になったら大変ですから 。 」
「 大丈夫だって言ってるじゃん!放っておいてよ!! 」
ごめんなさい 、 皆 。
楽しい雰囲気だったのに 、 壊しちゃって 。 最低だね 。
パシン!!
頬が 、 熱い 。
一瞬 、 何をされたのか 、 分からなかった 。
「 いい加減にしろよ 、 雪 。 」
暗くて 、 冷たくて 、 怖い声 。
雅さん 、
どうして 、 そんなに怒っているの?
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