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〔 雅 side 〕
散らかったリビングを出来るだけ片付けて 、 寝室に戻った 。
先ほどと変わらない体制のまま 、 雪は扉の方をジッと見つめて待っていたようだ 。 俺の姿が見えると 、 途端にそわそわしだす 。
「 風呂だけ入らせてくれるか?すぐ戻るから 。 」
嬉しそうな笑顔を見せた瞬間 、 たちまち顔を伏せて悲しそうな表情を見せる 。
その変わりようが可愛い 。
少し時間をおいて頷いてくれた雪の頭を撫でて 、 早足で風呂場に向かう 。
光の速さでシャワーを浴びて 、 冷えた麦茶で喉を潤した 。 それからすぐに寝室へ戻って 、 膝を抱えて丸くなった雪を抱き寄せた 。
「 ただいま 。 ちゃんと待っててくれたのか? 」
「 ……… ん 。 」
「 偉いな 、 雪 。 」
言葉が出ないのか 、 小さく頷いて俺の身体に身を委ねる雪はいつもより小さく感じた 。
中身だけ幼くなったような恋人の姿に 、 少し安心している自分がいる 。
それは自分がまだ嫌われていないと思えるからだ 。 少し離れるだけで不安そうに瞳を揺らして 、 俺が傍にいると嬉しそうに擦り寄ってくる 。 何も分からない赤子のように愛らしい 。
こうして必要としてくれているのだから 、 雪は俺の事を好きなまま 。 俺も 、 雪を好きなまま 。
昨日の夜は雪を責めて傷つけた 。 その事実は変わらないし 、 松田と三浦にしこたま怒られた 。
『 女性 』である山崎に傷を付けて帰すわけにはいかなかった 。 自分に自信がある女は 、 少しでも身体に傷を付けると責任がなんだと騒いでくる 。 それを恐れての行動だったが 、 結果的に雪を傷つけたのなら意味が無い 。
山崎を家に連れてきた時から 、 俺の間違いは起こっていたのだ 。
「 … みやび 、 さん 。 」
か細く弱々しい雪の声 。
可哀想で愛しい頬に擦り寄ると 、 俺の首に腕を回してきつく抱きしめてきた 。
なぁ雪 。
俺 、 たまらなくお前が愛しいよ 。
普段は滅多に甘えてこないお前が 、 こうして自分から甘えてくるんだ 。 このまま腕の中に閉じ込めておけたら 、 どんなに幸せだろうな 。
お前が責任取れっていうなら 、 何だってする 。
結婚はもちろん 、 俺が逃げないように子供が欲しいというなら孕むまで抱き潰す 。 じじいになるまで隣にいろと言われたら 、 当たり前だろって返すよ 。
なぁ雪 、 俺はさ 。
「 死ぬまでお前を愛し続けるから 。 」
この言葉を口約束で終わらせる気はない 。
嘘だと言うなら誰にも合わせないように地下でも作って閉じ込めてやるよ 。
「 …… 早く堕ちてこい 、 雪 。 」
「 ?? 」
「 … 明日は朝からベッドの中でゆっくりしような 。 」
首を傾けはじめた雪を腕の中に収めたままベッドに横になり 、 アラームもかけず眠りにつく 。
少しの間もぞもぞと動いていた雪は 、 動かなくなった瞬間に寝息を立て始めた 。 よっぽど疲れていたのだろう 。
サラサラの髪に鼻先を押し付けたまま 、 俺も夢の中へと落ちていく 。
愛しい者の横で眠るのは 、 暖かくて気持ちがいい 。
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