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学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第24話 想い
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「俺を好きって言ってくれるのは……ほんと、嬉しいよ。でもそれが、偽物じゃない保証はどこにもない。多分、天宮は変な薬を飲まされてるはずだから。でも、それでも……その。天宮がその気持ちは本物だと思う?」
「────思うよ。春くんが信じてなくても」
「……」
真っ直ぐこちらを見据えるその瞳に、嘘はないように見える。そう思い込む薬なら、それも当然かもしれない。
けどだからといって、それを無下にはできない。
「俺は、天宮の気持ちには答えられない。そういうの、よく分かんないし……やっぱり、申し訳ないけど俺はそれが本物だとは思えないし。だけど責任はとるよ。必ず、天宮を元に戻す。きっとどこかに方法があるはずだから。けど、もし本当に戻ったって思えた後も……まだ少しでも俺のことを好きだと思うなら。その時は……もう一度、気持ちを伝えてほしい。我儘、だけど」
「……うん」
「それまでは、その……友達、として。仲良く、できたらなんて……」
身勝手なのは分かってる。
だけど、元に戻るまでの短いのか長いのかも分からない間だけでも、俺は天宮という人間のことを知りたいと、そう思ってしまった。
「それでも良いよ。でも……俺の気持ちは、変わらないから」
天宮はそんな俺の言葉にも、笑って頷いた。
一週間前俺に向けられていたものとは違う、優しい瞳。
罪悪感が込み上げたけど、胸の奥にしまい込む。
天宮を元に戻す。それが俺のやるべきことだ。
だからそれまでの間一緒にいるくらい……許してほしい。
「……ありがとう」
立ち上がり、そろそろ痺れもとけたであろう天宮も立ち上がらせる。
辺りはもうすっかり暗くなっていた。
聞けばお互いの家は反対方向らしいので、公園の入口までとりあえず歩くことにする。
「これからよろしくな?春くん」
「────うん」
そうして、俺と天宮の奇妙な日常が始まったのだった。
「あ、あのさ……突然キスするのはやめてね……ほんと死ぬから」
「気持ちが止まらなくってつい……!じゃあ、今度からする時は言うから!」
「いやキスするの!?」
「だって好きなんだもん!」
「もんってなんだよもんって!不良が言っていい言葉じゃないだろ!!??」
「ていうか天宮とかいう他人行儀は駄目って言っただろ!?優ちゃんって呼んで!じゃなきゃ……」
「?」
「俺、春くんに何するか分かんないかも……」
「……」
「返事は?」
「……ヨロシクネ、優ちゃん」
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