アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第31話 好き
-
振り返ると、昨日と同じように天宮の幼馴染だという誠が立っていた。
俺たちの様子を一瞥して、信じられないというような、ともすれば絶望したような表情を浮かべている。
まあ確かに俺なんてつい最近まで関わりもなければあるようにも見えないような人間だから驚くのも当然だけど、そんなショック受けなくても……。
「誠、なんでここに?」
天宮は何やら頭痛でもしているのか、複雑そうな表情で頭を抑えて黙っている。
風が強くなってきて、その綺麗な金髪が乱れていた。
「優が最近お昼も全然食べてないから、お弁当渡そうと思ったんだ。いつも屋上いるからもしかしてって」
「……」
誠はそう言って、二つ分の弁当をきゅっと抱え込んだ。やっぱり、本人の言い分通り普段からあまり食べていないらしい。
「それより、これ……どういうこと?なんで優が……俺以外の人と一緒にいるの……?」
「えっとそれはいろいろあって……」
「あなたには聞いてない。……優、なんで?」
さすがに幼馴染には真実を伝えるべきだと考えたけれど、俺の言葉はすぐに遮られてしまった。何やら敵視されてしまったようで、軽く睨まれる。
どうやら彼は天宮の口から聞きたいらしい。
「それは……」
「まさか優……」
依然頭を抑えている天宮に、誠は何かを察したのか慌てたように駆け寄ってきた。ガコッと弁当箱が地面に落ちたけれど、気にしていないようだ。
それに一瞬視線をやってから、天宮はゆっくりと口を開いた。
「────好きだから、だよ」
「……え?」
「あいつの……春くんのことが、好きだから。一緒にいるんだ」
「……好き、って」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 71