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学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第38話 裏切り
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教室から少し大声をあげたくらいでは、当然気づいてはもらえなかった。天宮は気づかず殴られてしまったらしく、ばたりとその場で力無く倒れた。
「ぐ……っ」
「や……った、やったぞ、ついに天宮を倒した!」
あの天宮を殴った三年生……確か内山と言ったか。
あいつは本当に根っからの性悪で、仲良くなった二年生の先輩から自分が一年生の頃はあいつのせいでまともな学校生活を送れなかったと聞いたことがある。
「ちょっとつえぇからって調子乗りやがって……手下のフリしてただけで俺は最初からお前のことが気に食わなかったんだよバーーカ!」
その内山も天宮には叶わず、舎弟となっていたはずだ。舎弟とは言っても、天宮は基本一人でいたので勝手に周りに集まっていただけのようだけど。
あいつ……ヘコヘコと頭を下げて、心を入れ替えたのかと思っていたけど……それは力では敵わない者にただ媚びていただけのことだったらしい。
相手の不良たちと手を組んでいたのか、けらけらと厭らしく笑っている。どうやら三年生のほとんどは裏切っていたようで、歓喜の声を上げていた。
無関係であろう他の不良は、天宮がやられたことにより絶望した表情をしている。
「……っ」
天宮の頭から血が流れ始めている。
まずい、あいつが倒れて、もしあの他校の不良たちが校舎に入ってくるようなことがあれば被害はこれじゃ済まないだろう。
ああいう奴らは見境がない。俺みたいなポジションは比較的分別のつく不良というのとも仲良くなることがあるけど、そいつらとは訳が違う。通報したとして、警察が来るまでに何がどうなるのか……想像がつかない。
「く、そ……」
フラフラと、天宮が立ち上がった。あの血の量じゃ意識を保つのもキツそうに見えるのに、やはり最強と言われるだけのことはある。
「あいつまだ立ち上がれるのかよ、バケモンだな……!」
「────死ねや」
それを見て、内山が容赦なく鉄パイプを振り上げた。天宮はさすがにもうそれを避けるほどの気力がないのか、ただその様子を見つめている。
その場にいる誰もが息を呑み、そして目を瞑った。
「やめろおおおおおお!!」
「!?」
────その時、誰かが内山に思いっきり体当たりした。
予想していなかったであろう襲撃に、内山も転んで鉄パイプを取り落とす。
間違いないあれは……
「佐山ぁ!?」
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