アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第52話 発見
-
「天宮くん、久しぶりだね?」
天宮を前にしても、神崎は余裕たっぷりに笑顔を浮かべている。
────あの日もそうだった。襲われている天宮を目の前に、あいつはうっすらと笑っていた。
何を考えているのか、俺みたいな平凡陰キャには分かりようもない。
「てめえのことなんか知るか」
天宮は警戒しつつ、青木を庇うように前に立った。
「……へえ?なのに俺のこと分かったんだ?」
「っ!」
傍から聞いていた俺も、ビクッと体が跳ねてしまった。
確かに、天宮は神崎の顔を知らないはずだ。
「だよね、そうだと思ったよ……君は目を開けなかったもんね」
「い、いや……」
天宮も咄嗟の言い訳が思いつかないらしく、目を泳がせている。
「あの日、君は何故か帰り道でもない寂れた商店街に一人でいた」
「!」
そういえば、確かにそうだ。天宮とは家の方向が反対で、わざわざあんな商店街に寄る必要はないはずだ。何か用事でもあったのだろうか。
疑問には思ったけど、ここで考えている暇はない。
「君を襲う計画をした時に一番邪魔だったのが君だ、青木くん。だから君の顔はよく覚えてる。それから学校で天宮くんに付き纏っている不良。まあ、懸念はそれだけだったんだ。だけどそこに……」
「えっ……」
どうしようかと逡巡している内に……気づけば、神崎に腕を掴まれていた。
「君というイレギュラーがいたんだよ!」
「な、な……」
全く気がつかなかった。それにこちらに来ているのに天宮の静止の声すら聞こえなかったということは、それほど素早くここまで来たということだろうか。
間近で見る銀色の髪は陽の光に照らされて輝いていて、けれどその奥にある目は冷たくて、思わず後ずさりする。
「春く……!」
「佐山くん!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
56 / 71