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学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第59話 知らない方がいいこと
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「……」
また、昼と同じように天宮を壁ドンする形でドアの方へと押しやられてしまった。
しかもあの時は青木のおかげである種助かったけど、今はそんな頼りの存在もいない。
駄目だ、離れないと。
直感的にそう思っても、俺のひ弱な腕じゃ天宮を押し潰さないよう耐えるだけで精一杯だった。
「は、春くん、俺は大丈夫だから……あの」
「いや……優ちゃんが良くても、俺が無理だから」
これ以上接近すれば、また何かよからぬ感情が芽生えてしまいそうだ。実際今だって、何をしでかすか分からない。
必死に足にも力を入れて踏みとどまる。
「っ……優、ちゃん……」
天宮はなんだか歯切れが悪い。俯いたまま、俺のシャツの裾を力なく引っ張っている。
「どした?気分悪い?」
「いや……じゃなくて」
顔を覗き込もうとしても、身長と体勢のせいで全く見えない。ただ、時折ぴくっと肩が震えているのは分かった。青木のように人に酔ってしまって気分が悪いのかもしれない。
そうなると近づいてしまったら……なんてことは言ってられない。顔を寄せて、何かを言おうとしている天宮の声に耳を傾ける。
「…………足、が」
「足?…………
っあ」
言われて足元に視線を向けて、とんでもないことに気づいてしまった。
俺の足……正確には膝が、天宮の股下に入り込んで所謂股ドンのような体勢になっていることに。
……いっそ知らない方が良かったかもしれない。
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