アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第2章ー05 一緒にいられる幸せ
-
「飲み過ぎた……」
「疲れているのに、結構なペースでしたよ」
「半分、よく覚えていない」
「でしょうね」
こうして会話をしていても、目に生気がない。
多分、明日になったら覚えてはいないだろう。
そう確信する。
保住に手を貸して歩く夜道は、星空がきれいだ。
結局。
安齋や大堀は、酒が強い。
案の定、誘っておいたくせに保住が一番につぶれたのは言うまでもない。
大堀と安齋は、もう少し飲み足りないと言うので、田口は保住を連れて先にお暇だ。
「明日の仕事、大丈夫ですか」
「分からん。そろそろ休みは欲しいところだ」
「ですね」
ふと顔を上げると、以前こんなシチュエーションで寄った公園脇を通る。
「寄っていきます?」
冗談交じりに言う田口。
保住は顔を上げて公園と田口を交互に見つめてから、はったとして首を横に振った。
「い、いい。まっすぐ帰る」
「そうですか。では自宅で」
「田口……。お前、よくそんな元気があるな」
「そうかな。あなたとの行為は、疲れていても関係ないですけど」
「……言い返す気にもなれん」
保住は半分眠そう。
歩かせるのは限界か。
「おんぶしますよ」
「いいって」
「無理ですから。ほら」
そっと保住から手を離し、彼の目の前にしゃがみ込む。
しばらくの沈黙。
おんぶしないかな?
そんな風に思った瞬間。
保住の触れてくる感触を覚える。
「すまないな。いつも」
「いつものことなんです。いちいち謝らないでくださいよ」
「そうか……」
田口に体重を預けると、すぐに寝息が聞こえる。
「頑張り過ぎですよ。本当に」
正直、田口も疲れている。
自分だってきっと、横になったらすぐにでも眠ってしまうかも知れない。
だけど嘘じゃない。
保住とこうして過ごせる時間なら、少しでも覚醒していたい。
そう思ってしまう。
人通りのない暗い夜道を田口は、幸せを噛みしめながら歩む。
この時間が幸せ。
こうして一緒にいられることだけが幸せだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 175