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第2章ー08 ダメな同期
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「いやあ、どうも、よろしくお願いします。高梨です」
抜けている挨拶をするのは、今朝方、イライラを引き起こした原因の男だ。
まるっとした顔。
ぽっちゃりした体型。
空気でも入っているのだろうか?
穴を開けたら一気に空気が吹き出して、空の彼方に飛んでいくのだろうか?
そんなことを想像しながら、保住は男を見つめた。
今日は、田口たち三名に彼を引き合わせつつの打ち合わせがあったのだが……。
「保住くん、すっかり昇進してるから、恥ずかしくて言えないけど。おれ、同期なんだよね。ねー?」
同意を求められても。
保住は、しらっとして無言。
「あれ?酷いよー!僕と同期だって恥ずかしくて言えないって顔しているじゃないの!」
彼はポカポカと保住を叩く。
他の三人は開いた口が塞がらない。
これは。
終わっている……。
「無駄話をする時間はないのだ。すまないが、早々に今日の打ち合わせをさせてくれないか」
無表情で事務的な対応をする彼は冷たい。
なんだか澤井と付き合っていた頃の彼を彷彿させられて、田口は胸が痛んだ。
そう。
保住にはそう言う一面もある。
あの時は、感情を押し殺して対応していたからだと後々に聞いてはいたが。
今回の場合は、押し殺してなどいない。
寧ろ、はなから相手するに値しない人間であるという評価なのだろう。
愛想を振りまくことすらしないだなんて。
田口は黙ってその場に座っていた。
「分かったよー……」
「大堀」
「……あ、はいっ!」
微妙な雰囲気の中、打ち合わせが開始される。
大堀は自分の企画書を取り出した。
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