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第2章ー13 裸エプロン!?
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殺伐とした環境には慣れているつもりだったのだが。
しばらく緩いところにいたせいか、キツい。
「大丈夫か?田口」
ぼんやりしていたのか。
はっとして顔を上げると、保住が心配そうに見上げていた。
「あ、はい。……少し疲れたようです」
「そうだな。本当にお疲れ様」
キッチンで夕飯の手伝いをしていたはずなのに。
いつのまにかぼんやりとしていたのだ。
「田口」
「はい」
「今朝のこと、気にしているのか?」
今朝?
今日は色々なことがあった気がする。
朝のことまで時間を巻き戻すのに時間がかかる。
そう言えば、キッチンで保住が食材相手に何やら怒っていたのを思い出す。
自分のことではなかったとは言え。
多少気にしていたのを思い出した。
思い出さないと認識できないって。
なんだかおかしい。
そんなレベルの話だったのか。
それとも、今日一日の出来事が濃すぎたのだろうか。
レタスを洗う手を止めてタオルで拭いてから、目を瞬かせている保住を後ろからぎゅーっと抱き締める。
「な、なんだ。大丈夫か?……大丈夫そうではない様子だが」
「すみません。一緒にって。保住さんを守るって偉そうに言っていたくせに。おれのほうが、先にやられています」
田口の腕にそっと触れた保住は「すまないな」と呟く。
「あなたのせいではないのです。おれが不甲斐なさすぎて」
「そんなことはない。お前はよくやってくれている。同期との仕事は厳しいだろう。おれも理解している」
保住の頭に顔を寄せる。
人の香りとは、好き好きがあるものだが。
田口は保住の匂いが好き。
「お、おい!匂いを嗅ぐな」
「え?ダメですか?」
「ダメに決まっているだろうが」
もごもごと田口の腕から逃れようとする保住を押さえつけて、くんくんと匂いを嗅ぐ。
「や、やめないか……っ」
「嫌です。いい匂い」
「だから……っ!」
落ち着く。
心の不安が薄らぐのが分かる。
田口を引き剥がそうとしている保住の腰を抱き寄せる。
「保住さん、裸エプロンしてくださいよ」
「は、はあ?!お前馬鹿か?あれは、豊満な女性だからエロティックなのだろう?こんな真っ平らなおれがしてどうする!」
シャツを脱がせようと引っ張る田口に精一杯の抵抗を試みる。
「と言うか!夕飯の支度をさせろ!」
「嫌です!」
「お前……っ!そ、そうだ!お前がなれ!裸エプロンに、お前がなれ」
「それは嫌ですよ……」
「嘘だ!なりたそうな顔してるぞ」
保住は、田口のシャツをぐいぐい引っ張って反撃に出る。
二人はバタバタともつれあい、キッチンの床に倒れ込んだ。
そして。
揉めること数分後。
保住は、額に滲む汗を拭ってから田口を見下ろす。
彼はしゅんとして床に座り込んでいた。
「いや。想像はしていたが、やはり実物を目の当たりにすると」
「すると、なんですか?!」
「……お前、変態だな」
自分で言い出したこととは言え、自分がそれにされると、何とも言えないくらいの羞恥心だ。
「これに懲りたら、変なこと言うなよ」
保住はぷっと吹き出す。
「わ、笑わないでくださいよ!」
「お前の妄想は現実味がない。その格好をおれがしているのを想像してみろ。絶対におかしいぞ」
「おかしくなんて……」
「無理するな。恥ずかしいのだろう?」
意地悪な笑みの保住。
田口はむーっとする。
正座して座り込んでいる田口の前に保住は、しゃがみ込む。
「そんなに怒るなよ。お前が言い出したんだぞ……っ」
彼の言葉が終わらない内に田口は、保住の腕を捕まえて一気に床に倒す。
「こんな恥ずかしいカッコさせられるなら、保住さんも裸にしてしまえば」
「なんだ、その理屈は……っ」
「いいじゃないですか」
「よくない!」
文句を言い続けている保住の口をキスで中断させる。
「はッ……っ」
抵抗する彼を押さえ込むのは、なんだか何時もとは違う感覚を覚えた。
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