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第4章ー11 熱中症再び
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時計は21時を回った。
さすがにお腹も空いたし、疲れも出てきたようだ。
背伸びをすると、保住も目を擦り始めた。
「眠いんですか? 室長」
田口が声をあげる前に、安齋がすかさず見つけて声をかけた。
「眠い……おれ、睡眠がないと続けられない」
「しかも、」
安齋は側のデスクに添えられていた保住の手を急に取り上げて握った。
「へ?」
田口は、はったと顔を上げる。
「手、温かいじゃないですか。赤ちゃんですか」
「赤ちゃんと、言われても……仕方ないのだ」
保住は顔を赤くする。
「すみません。おれのせいで。他の部分は宿題にしてもらえませんか。明日の朝までにやってきます」
「そうか」
「ええ。ここまでお付き合いいただいたのです」
「じゃあ、帰るか」
彼はそう言うと、立ち上がるがふと体が揺れた。
「立ち眩み?」
「大丈夫ですか」
安齋が手を差し伸べようとしたとき。
田口はすかさず保住の腰を引き体を支えた。
「室長。水分摂っていませんよね?熱中症気味です」
「またやってしまったのか……」
「大丈夫ですよ。この前よりはいいです。まだ大丈夫」
田口は保住の首筋を触れる。
眠いのではない。
軽い熱中症だ。
汗もかいていないのに、体は温かい。
「悪い。安齋。おれ室長を送って帰る」
「あ、ああ。大丈夫なんですか?」
保住は田口に支えられて笑う。
「いつものことだ」
「笑いごとではありませんから」
田口にぴしゃりと言われて保住は、黙り込む。
「……すみません」
「このまま帰ります」
「お疲れ様でした」
「戸締り、よろしく」
田口に引きずられるように出ていく保住。
それを見送って、安齋はじっとしていた。
「ふうん……」
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